アリババと上汽の駆け引きが幕引ぎ、BanmaとAliOS自動車チームが統合へ

 ある大きな組織的変化がBanmaで起きている。上汽グループとアリババが共同設立したこの合弁会社は、コネクテッドカーへの両者の期待を担ってきたが、これまで両者の駆け引きで右往左往していた。

 ベンチャーITメディアの36krはBanmaの上層部に近い複数の関係者から、Banmaがアリババ傘下のAliOS Auto(AliOS自動車チーム)と統合され、双方がフロントエンドとバックエンドで支えあう関係から一つの組織に統合されることを明らかにした。

 同関係者によると、統合案として、アリババは、AliOS自動車チームを本体から分離させ、Banmaに組み込み、Banmaがそのための費用を支払う。現在、外部から多くの機構が出資(投資)を希望しており、広汽集団傘下の広汽資本も含まれている。また、外部資本の参入に伴い、上汽グループは株式の一部を譲渡し、アリババはこれにより持ち株し、Banmaをコントロールする。

 これについて、Banma市場部の責任者は、AliOSとBanmaの間で大きな調整が行われることは確実だが、それ以上の詳細は明かせず、すべてがまだ進行中だと述べた。

 Banmaの設立当初、アリババと上汽グループはそれぞれ45%の株式を保有し、契約書でBanmaの活動範囲を定めた。BanmaはアリババのオペレーティングシステムであるAliOSに基づいてコネクテッドカーを開発すると同時に、AliOSが自動車業務の「出口」もBanma事業に限定される。この合意はBanmaの「掟」となった。

 しかし、環境は変化しており、同社のコネクテッドカーシステムは、上汽Roweブランドを成功に導いている。その後、Androidベースのコネクテッドカーシステムが大量に現れ、Banmaの機能は間もなく複製され、ライバルの車載大型ディスプレイに表示されるようになった。これにより、AliOSはプレッシャーを感じ始めるが、自らビジネスを拡張することができず、Banma設立時の上汽との契約書は立ちはだかる壁となっている。

 アリババは規模化とネットワーク効果を求めているが、上汽は良質な競争資源を抑えたがっており、両者の立場は明らかに相互排他的となり、Banmaもそれに伴って方向を見失っている。

 上汽とアリババの合弁会社だが、Banmaは業界のオープンプラットフォームを目指している。 2017年9月の雲栖大会で、Banmaはインターネット自動車産業基金(注)と業務の同時開放を発表し、上汽以外の初の自動車メーカー神龍(PASとの合弁メーカー)を仲間に取り込んだ。

 「オープンプラットフォームである以上、常に上汽システムを取り囲んで業務を行うのではなく、まずはより多くの外部OEMを相手にビジネスをしなければならない。上汽のみのシステム受注を続けていれば、投資家は、Banmaは単なる特定グループ内の企業だと思うだろう」とBanma離職役員の李越氏はメディアに語った。

 この理念に基づき、Banmaは神龍汽車に続いてフォードとも署名し、2018年6月にはQoros汽車との間で提携関係を結び、東風ルノーとの提携もその間に決まったという。

 しかし、2018年下半期から現在まで、同社の提携発表は1件のみで、かつてほどの勢いはなくなっている。

 「18年下半期以降、複数の高級管理職や技術者が離職し、Banmaは外部ブランドを開拓することがほとんどできず、また上汽からの受注を開始した」と関係者はメディアに伝えた。

 百度とテンセントも産業用インターネットを業務の重点とし、コネクテッドカー市場に猛攻をはじめている。 百度は18年の開発者会議で、同社の車載OSを発表し、フォード、長城、奇瑞などの自動車メーカーと迅速に契約を結んだ。テンセントはTAIを発表した後、長安、吉利、EVベンチャーの理想智造などの自動車メーカーとの提携も確定した。

 新たに立ち上げられたライバルたちは、Banmaの人材に高価なオファーを出す一方で、Banma内部では路線の揺れ動きを経てチームが動揺している。

 Banmaはアリババのコネクテッドカー事業の名刺となっているが、経済的な見返りは見合わない。アリババはAliOSを全業界の布石にし、規模化を実現して開発費用を償却する必要があるが、上汽は不要で、Banmaはその優位な競争資源の一つであり、これが両者の駆け引きの根源となっている。

 そのため、今回BanmaとAliOS Autoの統合を通じて、アリババは、AliOS自動車版のオープンソース開放計画を速やかに実施し、業界全体への開拓効率を高めるだけでなく、Banma、AliOS、自動車メーカーの三者の高度な連携を推進していくだろう。これは、自動車メーカーとテク企業の駆け引きの幕引きを意味するのか、それとも両者のゲームは単にメディアによる拡大解釈なのかはともかくとして、今回の動きは、「AliOSを自動車OSにする」というアリババの最初の目標への期待を膨らませるに違いない。

注:アリババと上汽グループが2015年に10億元を投資して設立した合弁企業「Banmaネットワーク」のためのファンド


参考記事:https://36kr.com/p/5224098

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