新エネ車産業、川下から川上に向かって利益が吸い上げられる

経済誌の「第一財経」が最近主要OEM 8社の半期報業績を分析して、新エネ車産業のバリューチェーンにおいては川下から川上に向って利益が吸い上げられていると指摘した。以下にポイントだけを紹介する。

1.勝ち組として、長安、BYD、長城、広汽の4社は前年同期比で大幅な増加を実現した(ただし長安と長城は増資や為替差益などの経営損益分が含まれる)。うち、ガソリン車事業を切り捨てたBYDの上半期純利益は前年同期比2倍超に増加し、半年で昨年通年の利益を上回り、分析対象OEMのうち一位となった。BYDの平均台当たり粗利は3.15万元になっている。

2.負け組として、「ファーウェイ・セレクト」にこだわっている北汽藍谷ARCFOX と小康SERESは上半期の純利益はそれぞれマイナス21.81億元とマイナス17.27億元で、前年同期比20.28%の赤字と258.97%の赤字となった。

3.新エネ車産業バリューチェーン全体を見渡すと、OEMの稼ぐ力は、川中の動力電池メーカーや、川上の原材料サプライヤーにはるかに及ばない。上期に利益を上げた広汽の例で言うと、同社新エネ車の半分はCATLの動力電池を搭載しているが、動力電池は完成車コストの40-60%を占めている。同社会長の曽慶洪氏は「われわれはみなCATLのためにアルバイトをしている」とため息をついた。

4.今年上半期、CATLの売上高は1129.7億元で、BYDと比べて376億元少なかったのに、純利益は81.7億元に達し、BYDを46億元上回った。ある証券系サイトのデータによると、今年上半期、OEMの平均粗利率は10.27%であるのに対して、動力電池業界の平均粗利率は19.54%で、前者を9.27ポイント上回っている。

5.CATLを始めとする動力電池メーカーが新エネ車バリューチェーンの中で一番甘い汁を吸っているかと思ったら大間違いである。本当の勝者は川上の原材料プロバイダーである。国内「リチウム王」と呼ばれる「天斉リ業」という原材料サプライヤーが発表した上半期の決算報告よると、同社の売上高は142.9億元、純利益は103億元に達し、前年同期比119倍以上増加し、純利益率は72.24%でA株リチウム部門のトップとなった。

6.「天斉リ業」の電池向け炭酸リチウムのコストは1トン当たり6.5-7.0万元だという。一方、工業情報化省のデータによると、今年上半期、電池向け炭酸リチウムの市場平均価格は1トン当たり45.3万元で、前年同期比454%上昇した。これにより、「天斉リ業」は1トンの売上総利益が38万元と、粗利益率は84.26%に達している。もう一つ塩湖からリチウムを抽出する「チベット鉱業」の粗利益率はさらに94.47%に達しており、鉱石からリチウムを抽出する「天斉リ業」を上回っている。

3271