アリババ、自動運転部門を解散、全員をスマート物流企業のCainiaoに統合

5月12日、一部のメディアの情報によると、アリババの技術開発部門である「達摩院」(以下はダルマ院)は大規模な組織再編を行っていることが明らかになった。長期的に収益化ができなかった自動運転業務部門の開発チームはすべてアリババグループのスマート物流企業であるCainiao(ツァイニャオ、菜鳥)に統合され、「ダルマ院」自体は業務とチームを持たないことにした。

現在、アリババ「ダルマ院」が開発した製品には自動運転トラック「大蛮ロバ(大蛮驢 ダマンリュ)」(注)、無人物流車「小蛮ロバ(小蛮驢 シャオマンリュ)」などがあるが、この2つの製品も今後Cainiaoの業務に合わせて展開される。ある業界専門家は、今後、アリババの自動運転業務は物流配送を中心に展開される可能性はあると指摘した。また、自動運転配送は、相対的に閉鎖環境下にあることが多く、技術ハードルはより低く、実用化しやすいとの見解を示した。

アリババ「ダルマ院」は2018年にCainiao傘下のET実験室とアリババ人工知能実験室が合併して誕生した。設立当初より、幹線物流とターミナル物流の2大セグメントに注力しており、L4、L5級の全無人自動運転を発展目標としている。

アリババは2020年、低速無人物流車「小蛮ロバ」を正式に発表し、同年に量産・商用化に入り、デリバリー、末端物流、無人移動販売、パーク物流配送などの利用シーンに注力している。アリババは2021年、幹線物流L4級無人トラック「大蛮ロバ」の研究開発に同時に着手し、2022年6月に浙江省のL4級「主運転無人」自動運転トラックの公道テストナンバープレートを取得した。

しかし「ダルマ院」の製品の利用は狭い範囲にとどまっている。2021年、「ダルマ院」副総裁の王剛氏は、2021年9月、小蛮ロバの配送注文が100万件に達した際、3年後には小蛮ロバの車列規模が1万台に達し、1日平均の配送小包は100万件に達する見込みだと豪語していた。今となっては、その目標が達成されたかどうかはまだわからない。そして翌年1月、王剛氏は退職を申し出、清掃ロボット分野の起業プロジェクトを開始した。ET実験室の主要責任者である陳俊波氏も今年3月、退職・起業のニュースが伝えられた。その後「ダルマ院」の複数のコア技術者やベテランアルゴリズム専門家も退職したとの情報もあった。

アリババが発表した2022年第4四半期の決算報告によると、イノベーション業務とその他、例えばAIアシスタント「AliGenie」を搭載するスマートスピーカー「天猫精霊(Tmall Genie)」と「ダルマ院」などの業務を含め、売上は8.23億元で前年同期比20%減少した。調整後EBITA(注2)は12.35億元の赤字(前年同期は16.09億元の赤字)であった。

注1: 「蛮驢」(マンリュ)」は中国語で頑固なロバを意味する。

注2:調整後EBITDA (Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization) = 営業利益 + 減価償却費及び償却費 ± その他の営業収益・費用。

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