ファーウェイはHarmonyOSをスマートカーに搭載する日

8月9日、ファーウェイは、世界開発者会議でマイクロカーネルをベースにした全シナリオ向けの「Harmony(鴻蒙)OS」を正式に発表した。同社のコンシューマー事業部の余承東CEOは発表会で、次のように述べた。

「HarmonyOSは、世界初のマイクロカーネルベースの全シナリオ分散OSで、将来的には(自動車、腕時計、携帯電話などの)どの端末にも対応できるようになる」。

HarmonyOSは、まずは今年スマートディスプレイ「Honor Smart Screen」に採用され、本格的な商用化は2020年以降になる見通しだ。スマートフォンについては、Androidを使えなくなるような状況でなければ、Androidプラットフォームを優先していくとのスタンスをとっているため、ファーウェイは、次にHarmonyOSを採用するデバイスは、スマートカーになる可能性が高い。

ファーウェイの公開資料をみると、ファーウェイが提案したスマート自動車ソリューションは主に以下の5つの部分で構成されている。

Octopus:自動運転クラウドサービス
T-Box:車載通信モジュール
MDC:車載用コンピューティングプラットフォーム
HiCar:インテリジェントコネクテッドソリューション
mPower:バッテリ管理システム

その中で、Octopusは「華為雲」(ファーウェイクラウド)に基づいてデータ処理、学習、シミュレーション、テストなどの機能を提供している。T-Boxはファーウェイの最も伝統的な製品で、車をインターネットに接続する装置だ。車載コンピューティングプラットフォームMDCはスマートカーの頭脳だ。HiCarは、すべてのスマート端末が構成したエコシステムをスマートカーとスマートホームにつなげるインテリジェントコネクテッドソリューションだ。

ファーウェイのスマートカーソリューションを構成する5つの部分

以下の動きからファーウェイはスマートカーへの布石が加速していることがうかがえる。

6月3日、ファーウェイはスマートカーソリューションBUを設立し、その位置づけは企業BG、消費者BG、Cloud BUに相当し、同じくファーウェイグループの一級部門に属している。

ファーウェイの事業部構成

ファーウェイが6月28日に発表した求人公告によると、同社は現在2020年卒の博士を対象に、スマート運転、スマートコックピット、AIアルゴリズム最適化/システムプラットフォーム、スマート自動車ソリューション設計と集積検証、コネクテッドカービッグデータなどの分野の研究者を募集している。

ファーウェイの求人内容

8月10日、ファーウェイは地図の甲級測絵資質を獲得した。IoTが成熟しつつある現在、ファーウェイはこの貴重な甲級測絵資質を獲得し、自動運転の全分野、さらにはIoTへの布石にとって、非常に重要な一環となっている。

今後少なくとも3-5年以内に、ファーウェイのスマートカー分野への布石はスマート運転、スマートコックピットと自動運転クラウドサービスに焦点を当て、しばらく完成車分野には浸透するつもりはないと思われる。しかし、これでファーウェイの自動車産業全体への野心を過小評価してしまったら大間違いだ。なにしろ2002年の時点で、CEOの任正非氏もファーウェイは携帯電話を作らないと言っていたのだから。


参考記事:https://36kr.com/p/5234938

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