ファーウェイ、「車を造らない」約束をさらに5年間延長

ファーウェイは3月31日、会長の任正非氏が社内文書に署名し、「ファーウェイは車を造らない」約束の有効期間を5年間延長することを明らかにした。

任正非氏はまた、HUAWEIロゴを使って完成車の宣伝や外観に使用してはならないと強調し、特に業界に対して「華為問界(HUAWEI AITO)」などの表現を禁止した。

より多くのOEMを囲い込み、OEMの懸念を払拭するために、ファーウェイは2020年10月に、「車を造らず、車メーカーが良い車を造るのを手伝う」という文書を公開した。ただし、この約束の有効期間は3年であり、今年10月に有効期限が切れる。

今年3月8日の「女性の日」に、ファーウェイとSERESの提携で生まれた新エネ車ブランド「AITO(問界)」は、Webo(微博ウェイボー)やWeChat(微信ウィーチャット)の公式アカウントに掲載した広告で、従来のキャッチフレーズ「AITO(問界)」を「HUAWEI AITO(華為問界)」に差し替えた。しばらくして、ファーウェイの公式アカウントもリツイートし、「行きたい場所へ、華為問界は、いつもあなたに付き添ってくれます!」と投稿した。

公告が掲載されると、AITOへの注目度が高まると同時に、ファーウェイの自動車産業への関わり方も大きな話題となり、かつて「車を造らない」と約束していたファーウェイは「ついに表舞台に出てきたのではない」と憶測が飛び交っている。

ファーウェイはいままで3つのアプローチで自動車産業に参入している。

1.サプライヤーアプローチ

HiCar(HMSシリーズアプリケーション)、HUAWEI SOUND、モーター、OBD、ゲートウェイ、AR-HUD、MDCなど、個別部品またはパッケージを提案するが、研究開発や製造には深く関与せず、従来のサプライヤーと同様の提携方式である。

2.HI(Huawei Inside)アプローチ

ファーウェイのスマートカーソリューションのフルセットで、スマート運転、スマートコックピット、スマートコネクテッド、スマートカークラウドなどの技術のハイライトを含み、自動車の重要な部分にはファーウェイのものを使用する。これは従来のサプライヤー方式に比べて、自動車メーカーの研究開発段階からファーウェイが関与するが、主導権は依然としてOEMが握っている。

現在HIアプローチで提携しているOEMは、BAIC傘下の新エネ車ブランドARCFORX、長安汽車傘下の新エネ車ブランドAVATR、広汽傘下の新エネ車ブランドAION(先日提携解消と発表)。

3.華為智選(ファーウェイ・スマートセレクション)アプローチ

製品の位置付け、設計、マーケティング、販売チャネル、品質管理全体をファーウェイが担当する。OEMは受託生産を担当し、地場メーカーの小康汽車傘下のSERESがその典型例である。ファーウェイとSERESの提携モデルであるAITO(問界)は、事実上ファーウェイが独自に開発して、SERESに生産を依頼したモデルである。

今回の「華為問界」騒動の背景について、4月1日開催した「中国電気自動車100人会フォーラム2023」でファーウェイ常務取締役でコンシューマーBG CEOのリチャード・ユー(余承東)氏が考え方を説明した。

ユー氏によると、自動車分野ではかつてのファーウェイの考え方であるボッシュのようなTier1になりたいという目標は、今日の時代では成功しにくいとされている。ファーウェイが取り組んでいるのは、ボッシュやコンチネンタルのようなブレーキやステアリングなどの標準化部品ではなく、ソフトウェア、アルゴリズム、クラウド、チップなどの領域であり、これらは標準化された部品よりも大規模販売が困難であり、常にカスタム化やOTAを通じたバージョンアップが必要であり、OEMを巻き込む必要があるとされている。

その後、ファーウェイはHuawei Inside(HI)アプローチを提案して、3つのOEMが採用していたが、今は事実上長安のAVATERのみ残っている。そこで、華為智選(ファーウェイ・スマートセレクション)アプローチを提案している。

ファーウェイはもともと業界を超えたコラボブランドとしてAITO(問界)に希望を託しているため、ブランドの前に「HUAWEI」を付けたところ、この2日間で再びメディアを賑わせる結果となった。

ユー氏は、「ファーウェイの理念は、車を造らず、自動車メーカーが良い車を作るのを助けることである。私たちはずっとこの理念を堅持してきた。私たちが「HUAWEI AITO(華為問界)」との表示を使ったのは、ファーウェイのエコシステムとして消費者が識別しやすくするためである。なぜなら、今後、他のOEMとの提携モデルも同じ表示方法を使うことで、消費者が戸惑わずに選択することができるメリットがある。ただ、弊社トップは異なった意見があるため、「HUAWEI」を外さざるを得ない。しかし、ファーウェイの理念は本質的になんら変わっておらず、私たちは「HUAWEI AITO(華為問界)」のようなエコシステムブランドを作り、シリーズ化されたモデルを共同で作りたいと考えている」と説明した。

 

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