吉利、Meizu買収、スマホ市場進出を狙う

 6月13日、「湖北星紀時代科技有限公司」(以下は「星紀時代」)という会社は、国内スマホメーカーの「珠海市魅族科技有限公司」(以下は「Meizu」)の株式を79.09%取得したと、「国家市場監督管理総局」の公示文書で明らかいになった。

 「Meizu」は、中国広東省珠海市に本部を置くオーディオ機器、スマートフォン、スマート家電メーカーで、2003年3月に設立された。創業当初はデジタルオーディオプレイヤーを製造していたが、2009年2月中国国産としては初のスマートフォンとしてMeizu M8を発表(発売は同年5月9日)してからはスマートフォンを主力製品とした。2017年から2018年にかけては中国スマホ市場6位となり、シャオミに迫る人気があったが、その後急速に衰退して、2021年ごろには市場シェアが1%を切り、資金繰りに窮するようになった。

 「星紀時代」は2021年9月に湖北省で設立され、登録資本金は7.15億元、筆頭株主は地場自動車メーカーの吉利汽車で、持ち株比率は約32.31%である。

 2021年9月に吉利会長の李書福氏がスマホに進出すると発表した。「星紀時代」は武漢経済技術開発区と戦略的提携協定を締結し、総額100億元を投じて、ハイエンドスマホ市場に参入する準備を整えた。吉利は今年1月末にも、スマホメーカーのMeizuと買収交渉をしていると伝えられた。また吉利は最近、衛星を打ち上げた。吉利会長の李書福氏は、スマホとコネクテッドカー、衛星インターネットからネットワークを構築し、ユーザーにより便利でスマートなエコシステムを構築するとの構想を立てた。

 スマホを作るとちらつかせたテスラのほか、国内ベンチャー系自動車新勢力のNIOもスマホに参入する予定があると報じられた。さらにシャオミ、ファーウェイ、アップルなどのスマホ業界大手が、自動車産業に参入する動きを見ると、スマホ産業と自動車産業が今後融合していくのではないかとの予想ができる。

 今回Meizuの株式取得が確定すれば、吉利は自動車、チップ、衛星、スマホの産業チェーンを展開する世界初の企業となる。

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