北京時間2022年6月2日12時、中国内陸部の西昌衛星発射センターで「吉利未来モビリティスター」と称する商業衛星が打ち上げられた。今回の発射は、「長征2号丙」ロケットを使い、1台で9基を予定の軌道に乗せたと報じられた。西昌衛星発射センターで1台で9基の量産商業衛星の打ち上げに成功したのはこれが初めてである。

同衛星は主に、次世代スマートカー向けのネットワークサービス、車載機=スマホの衛星インタラクションなどの研究開発や技術検証に用いられるほか、予定されていた杭州アジア大会や海洋環境保護公益活動のサポートにも利用される予定である。

今回打ち上げた「吉利未来モビリディスター」の9基の衛星は、「浙江時空道宇科技有限公司」(英語名Geespace、以下は「Geespace」)が開発し、同社傘下の「台州衛星超級工場」が製造した量産型低軌道衛星である。

9基の衛星は、Geespaceがすでに構築している基礎PPP-RTK時空情報ネットワークおよび、北斗3号モジュールなどと連携して、リモートセンシング、ナビゲーション、通信技術の融合・応用を実用化することで、次世代モビリティサービスの立体化を目指す。

吉利は2018年、ベンチャー系のGeespaceに戦略的投資を行い、2021年には吉利科技集団商業宇宙本部が広州市南沙市に設立され、「川上で製造、中間で輸送・制御、川下での応用」という産業チェーンを構築しようとしている。Geespaceは現在、評価額が100億元を超え、商業衛星分野のユニコーンに仲間入りしている。

吉利は、衛星、チップ、スマホなどの業務はいずれも自動車を中心に利用されるデバイスになると考えている。吉利にとってすべての業務の目的は、自動車業務を中心に展開し、技術力を強化しつつ、競争力の「外堀」を築くためである。

650