SAIC、GM、ヒュンダイモービスなど、ホログラフィックHUDのスタートアップ企業に投資

海外メディアの報道によると、ゼネラル・モーターズのベンチャーキャピタル部門、SAIC Capital(上汽投資)、韓国最大手の自動車総合部品メーカーのヒュンダイモービスなどのメーカーは共同で、あるベンチャー企業の株式を一部取得した。同社の名前はEnvisicsで、自動運転システムのためにホログラフィックディスプレイ技術を開発しており、今回のBラウンド融資で5000万米ドルの投資を獲得した。英国ミルトン・ケインズに本社を置くEnvisics社の技術は、自動車のフロントガラスを利用してグラフィックや情報を投影する。これらのグラフィックや情報の投影は、自動運転システムが前方道路をどう予測しているかを運転者に理解させるための鍵となる。

Envisicsの創業者で最高経営責任者兼最高技術責任者であるJamieson Christmas氏によると、同社の技術にはホログラフィック変調器と、計器セット近くのダッシュボードの底部に取り付けられた処理チップが含まれており、車両の約425フィート前方の情報やグラフィックを表示できる。Jamieson Christmas氏はまた、今回のBラウンド融資で調達した5000万ドルにより、同社の評価額は2億5000万ドルを上回ったと明らかにした。

ますます多くの自動車メーカーによる自動運転機能の導入伴い、この技術は、運転者と自動運転車両とのインタラクティブを助けることができる。

ゼネラル・モーターズのグローバル執行副総裁で、ゼネラル・モーターズ中国総裁の銭恵康(Matt Tsien)氏は、ゼネラル・モーターズは間もなく発売するキャデラックの電動SUV モデルLyriqにEnvisics社の技術を採用する計画で、このSUVには自動運転機能が搭載されると明らかにした。銭氏はまた、「運転者が自動運転システムがどのように動作するかを理解できれば、運転者がいつテイクオーバー(手動運転への切り替え)すべきかを理解するのに役立つ」と述べた。また、ジャガー・ランドローバーの一部の車種にはすでにこの技術が搭載されている。

Envisics社は2018年に正式に設立されたが、その技術は数年前までさかのぼることができる。2009年にケンブリッジ大学でリアルタイム・ホログラフィック・ディスプレイ技術の博士号を取得したJamieson Christmas氏は、有志と共同でTwo Trees Photonicsというベンチャー企業を設立し、2014年にはジャガー・ランドローバー向けに世界初のレーザーホログラフィックHUD(ヘッドアップディスプレイ)を開発しました。このレーザーホログラフィック技術は、LEDシステムへの太陽光の影響を排除しながら、市場の他のシステムと比較して、より優れた色、輝度、コントラストを実現している。

Two Trees Photonics社はレーザーホログラフィックHUDを15万台以上販売しており、2016年には企業ARヘッドセットを製造しているL.A.Daqri社に買収された。その後、Daqri社はホログラフィック技術と自動車チームを独立した会社に分割することを決め、2018年1月1日にEnvisics社が誕生し、翌年にはDaqri社は消滅した。

現在、Envisics社は、2023年までに次世代HUDテクノロジーを市場に投入するために、自動車業界のいくつかの大手企業から支援を受けている。ジャガー・ランドローバー向けに開発されたHUDとは異なり、新技術は運転者の前方2.3メートルに仮想ダッシュボードの情報を表示するだけでなく、運転者の視界を高め、3車線、最大100メートルの道路をカバーすることができる。

実際、自動車向けにAR HUD技術を提供しているのはEnvisics社だけではない。スイスのスタートアップ企業WayRayも自動車向けに同様のホログラフィックディスプレイ技術を開発しており、2018年にはポルシェ、ヒュンダイ、アリババなどから8000万ドルの資金を調達した。

最近ではメルセデス・ベンツも、量産車にAR HUD技術を採用する初のメーカーだと発表しており、同技術を搭載する初のモデルはSクラス2021モデルとなる。


参考記事:https://auto.gasgoo.com/news/202010/10I70219440C601.shtml

3638