新エネ車の通期予想が下方修正され、外資系の参入で競争がますます激化

好調だった新エネ車市場も、成長率の鈍化に苦しんでいる。 中国汽車工業協会(CAAM)はこのほど、年間自動車販売台数の予想を年初の2800万台から2668万台に下方修正し、このうち新エネ車の予想販売台数は160万台から150万台前後に下げたと発表した。

マイナス成長が続く中、自動車全体の販売台数の下方修正は業界予想に沿ったものだったが、新エネ車の販売台数の下方修正は想定外だった。

上半期の低い販売目標の達成率はCAAMが予測値を下方修正した一因となった可能性がある。データによると、今年上半期の新エネ車の販売台数は前年同期比49.6%増の61万7000台で、近年最低となり、通年目標の38.56%しか達成していない。

ちなみに2018年上半期の新エネ車の販売台数が年間販売台数の32.8%を占め、2017年上半期の販売台数は年間販売台数の25%にとどまっている。今年上半期の38.56%という達成率は、例年を上回っているにもかかわらず、通年目標を下方修正したのは、CAAMは、今年下半期の達成率を例年を大幅に下回ると予想しているためだ。

新エネ車に対する下半期の低い予想は、補助金の後退、安全問題の頻発などの要因と無関係ではないだろう。今年3月に財政省が発表した2019年の補助金新政策によると、新エネ車補助金の平均下げ幅は50%に達し、消費者の購買意欲に影響する可能性がある。また、新エネ車の安全問題が頻発していることも、今後の市場のパフォーマンスに暗い影を落としている。経済観察網の記者が集計したデータによると、今年の新エネ車のリコール件数は累計9件で、約30万台に達した。このうち、バッテリの安全問題が原因でリコールされたのは5分の1占める。

現在のところ、多くの機構が発した市場鈍化の警告は、主要な新エネ車メーカーを動揺させることができていない。吉利汽車、長城汽車、上汽集団などの伝統的な自動車メーカーはこのほど、相次いで総販売目標を引き下げたのに対して、新エネ車については、下方修正の情報が報じられていない。北京新能源の馬倣列総経理はこのほど、経済観察網の記者を含むメディアとのインタビューで、同社の年間販売台数目標を22万台据え置くと表明した。これと同時に、不動産業界を始めとして、他業種からの新エネ車産業への参入が続いており、これまでの宝能、恒大のほか、最近では華泰汽車に富力集団が出資し、新エネ車に進出している。

一方、大量の外資ブランドと合弁ブランドの新エネ車の発売に伴う競争激化は、新エネ車市場に一定の不確実性をもたらす。現在、中国国内の新エネ車のリーディングカンパニーはBYD、北汽新能源などの自主ブランドとなっているが、下半期にはブランド価値と技術の蓄積が比較的強い合弁や外資系の製品が続々と発売され、消費者の様子見ムードを引き起こし、市場全体の動きに影響を与える可能性がある。

現在、合弁ブランドの日産Sylphy(軒逸)EVとキアK5 PHEVは6月の新エネ車販売台数トップ10入りを果たした。合弁のプラグインハイブリッド車も強気で、昨年下半期に発売されたフォルクスワーゲンのPassat PHEVは、わずか数カ月で新エネ車ランキングの上位に食い込み、新エネ車Bクラス市場をリードしている。Passat PHEVと同時期に発売されたTiguan(途観)L PHEVのパフォーマンスも見応えがある。今年上半期にはトヨタCorollaとLivinもプラグインハイブリッド版を発売している。

下半期は、合弁ブランドが新エネ車を集中的に投入する時期であり、複数の合弁ブランドが新エネ車製品を発表する予定だ。公開情報によると、フォルクスワーゲンは下半期にGolfとLavidaブランドのEV版を発売する。それ以外にトヨタCHR EV/Izoa EV、北京ヒュンダイEncino EV、東風ホンダCiino X-NVなども下期に発売され、他にも北京ベンツEQC、アウディQ2L e-tronなど高級ブランドのEVもある。


参考記事:https://www.d1ev.com/news/pinglun/96295

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