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新型コロナウイルスの感染は自動車業界にどんな影響を及ぼしているか

 2年間連続で減速している自動車市場は、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大により、さらに悪化するだろう。

自動車メーカー各社は再稼働の延期を発表

 今回のコロナウイルスの主な感染地域である湖北省では、複数の自動車メーカーの合弁工場がここに設立されている。なかには、神竜汽車(PSA)、東風ホンダ、東風ルノー、GM、東風日産、インフィニティのほか、地場メーカーの東風商用車、東風風神、東風オフロード、衆泰汽車などが含まれている。

 特に湖北省で最も感染の影響が深刻な武漢市は、神竜汽車(PSA)、東風ホンダの本拠地だ。疫病の発生を受け、武漢市の都市閉鎖、武漢中心市街地での自動車走行規制などの政策措置が取られているため、各メーカーの生産再開時期もこれらの政策措置の解除時期と関連することになる。

 1月29日、湖北省の王暁東省長は、同省の各企業の再稼働時期が2月13日24時より早くなることはないことを明らかにした。 つまり湖北省に工場を構えている複数の自動車メーカーの再稼働時期は、政府の指示を待たなければならない。

 ホンダは2月9日まで中国工場の操業を停止すると発表した。ホンダは中国で東風ホンダと広汽ホンダの2社の合弁会社を保有しており、いずれも疫病期間中は生産を停止している。東風ホンダの3つの生産工場はいずれも武漢市にあり、生産能力は年間63万2000台、従業員数は約1万2500人で、CIVIC、CR-V、INSPIRE、ELYSIONなどの車種を生産している。東風ホンダの2019年の販売台数は79万台と、工場の既定生産能力を上回るため、操業停止期間は生産、販売に大きな影響を与える。

 PSAグループ、ルノーと東風汽車も武漢市に合弁工場を設立している。東風汽車の担当者は、「弊社は疫病の情勢を研究し、従業員の健康と安全の保証を前提に生産経営の回復案を作成しているが、当面全社の稼働時期が未定で、具体的には各地域の疫病の抑制状況に基づき決める」と述べた。

 トヨタ自動車と日野自動車は、中国工場で2月初めに予定していた旧正月後の稼働を延期する計画だ。トヨタ自動車のMaki Niimi氏は「地方や地域政府のガイドライン、部品の供給状況を含め、さまざまな要素を考慮し、2月9日まで中国工場の操業を見合わせることにした」とし、「事態の推移を注意深く見守り、2月10日から行動についてさらに決定を下す」と述べた。トヨタは中国天津、成都、長春、広州市南沙区に工場を持っている。

 テスラによると、上海工場でのModel 3の生産作業は1週間半ほど遅れる見通し。現在、テスラ上海工場の生産開始から数ヶ月しか経っておらず、生産能力は徐々に上がっている段階にある。市場の需要も拡大しているなかで、新型コロナウイルスの影響を受け、上海工場のModel 3の生産が停止に追い込まれている。

 フォードによると、中国での合弁会社である長安フォードの工場は2月10日までに生産を再開しない見通し。フォードの中国での販売台数は引き続き減少し、業績の急落で赤字が続いているが、新型Escapeの発売で長安フォードの受注量が増加したほか、LINCOLNブランド初の国産Corsairも3月に発売される予定で、工場での任務量が増加した。しかし、今回のコロナウイルス感染の影響を受け、フォードも再稼働を延期せざるを得ない。長安フォードは現在、重慶市、杭州市、ハルビン市の3カ所の生産拠点を有し、5カ所の完成車工場、1カ所のエンジン工場、1カ所のトランスミッション工場を有しており、うち地理的に武漢市に近い重慶市はすでにフォードのデトロイトを除く世界最大の生産拠点となっている。

産業チェーンへの影響

 実際、自動車部品のサプライチェーンにも大きな影響が出ている。 世界最大の自動車部品サプライヤーであるボッシュ社は、新型コロナウイルスが世界のサプライチェーンに影響を与え、サプライチェーンを寸断させるリスクがあると警告した。

 また、自動車流通にも影響を及んでいる。広彙汽車、永達汽車集団、恒信汽車集団、百利集団などを含める国内大手自動車ディーラーは軒並みに営業の一時停止を発表した。

 自動車業界の川上の調達、製造から川下の流通、小売までほぼ全面的に操業停止を余儀なくされ、企業の経営は大きな打撃を受けている。自動車業界の2年連続の不振も相まって、2020年は自動車業界にとって不安定な年となる。

 また、第1四半期の輸出入貿易にも重大な影響が出るため、自動車の輸出入計画も頓挫すると予想される。 ちなみに、2019年の自動車輸出は前年同期比1.6%減の102万4000台になり、うち乗用車の輸出台数は同比4.3%減の72万5000台にとどまった。一方商用車の輸出は同5.7%増の29万9000台だった。

 2020年は中国の自動車市場が連続して前年割れになる確率がますます大きくなり、市場減速の3年目となるだろう。2019年の中国の自動車販売台数は前年比8.2%減の2576万9000台だった。28年連続で増加してきた中国の自動車市場のボーナス期は終わり、今回のコロナウィルスの感染拡大を含めて複数の要因の共同作用により2020年は各自動車メーカーにとって厳しい年となるだろう。


参考記事:https://www.iyiou.com/p/122838.html

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Tags: 調査