二兎追う上海、感染対策を不変のまま、生産再開に向けて準備

 厳しい感染対策により、上海の自動車産業は操業停止に追い込まれている、それは全国経済に深い影響を及ぼしているため、中国政府は、従来の厳しい感染対策のままでも経済活動を止めてはいけないとの指示を出した。それを受けて、各地方当局は生産再開の方策を模索し始めている。

 上海市はこのほど、「上海市工業企業の操業再開・生産再開による感染対策ガイドライン(第1版)」を発表し、第1陣となる重点企業666社の「ホワイトリスト」を発表した。

 666社のうち、自動車関連企業は250社を超えた。このうち、かろうじて生産を維持しているのは41社にとどまり、8割超が操業停止状態にある。操業停止企業には、ZF、Aptiv、Faurecia、Valeoなど大手部品メーカーの上海生産拠点が含まれている。

 「ホワイトリスト」のうち、「操業を再開しなければならない操業停止企業」は2社で、そのうちの1社がテスラである。テスラの上海ギガファクトリーは2度操業を停止した。

 今回、操業再開・生産再開に向けた感染対策ガイドラインの発表に伴い、テスラは4月18日に操業を再開するよう従業員に通知したことを明らかにした。

 上汽(SAIC)も4月18日に操業再開に向けたストレステストを開始する。

 しかし、上海では従来どおり(いわゆる「ゼロコロナ」)の感染対策が続いているため、出勤が決められても、一定の条件をクリアしなければ、コミュニティの出入りができない。一部のメディアの調べによると、厳しい条件をクリアできる従業員は4割程度で、うち、なんらかの理由で足が止められ、実際に出勤できそうなのは3割にとどまるという。また物流も、各封鎖地域を通るのに必要な手続きは煩雑で、スムーズに原材料や部品を運ぶのも容易できない。操業再開は実態を伴わないただの呼びかけにとどまる可能性はある。

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