Categories: その他

EUの対中増税の影響は限定的、BYDの株価が高騰

 6月12日にEUが中国向け電気自動車関税を発表した後、中国メディアの反応は、EUの対中増税の影響は限定的であり、中国の電気自動車関連株は率先して上昇したというものでした。

 EUのこのような痛くもかゆくもない象徴的な追加関税は、不確実性を解消したため、BYDなどの中国の電気自動車メーカーにとってむしろ好材料となったのです。

 EUの草案では平均35%の関税が提案されていましたが、ドイツとハンガリーの働きかけにより、最終的には21%の関税となりました。このため、香港株式市場ではEUの制裁が好材料と捉えられ、BYDの株価は4.15%上昇し、一時7%を超えました。

 調査に協力したBYDは17.4%、Geely(吉利汽車)は20%にとどまりました。唯一30%以上の関税を課されたのはSAIC(上海汽車)で、その税率は38.1%でした。これは同社が調査に協力しなかったことが理由です。同社が今後調査に協力すれば、税率が下がる可能性があります。そうすれば、EUの中国の電気自動車に対する関税税率は予想を大幅に下回ることになります。

 一方、国際自動車業界の一般的な見方では、50%増という懲罰的な税率でなければ、中国の電気自動車のダンピングを阻止することはできないという意見が多いです。

 そのため、EUの今回の増税決定は中国政府を怒らせたものの、中国電気自動車の輸入を減らす目的は達成されないと考えられます。EUの政策決定者は、香港株式市場の中国の電気自動車株のこのような上昇を見て、どのような気持ちになるでしょうか。

 また、中国の大手メディアは、欧州自動車メーカーの反応として、メルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンがEUの対中増税に反対する姿勢を表明していると伝えています。

 「日経中文網」によると、実はEUが中国から輸入する電気自動車のうち、6割がテスラやルノー、BMWなど欧米メーカーの製品です。そのため、メルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンがEUの対中増税に反対していることも理解できます。今回の増税は実際に彼らに最も大きな影響を与えているからです。

 したがって、BYDなどの中国電気自動車メーカーにとっては、EUのこのような中途半端な増税が実は好結果となり、真に影響を受けるのは中国に生産拠点を持つフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、BMWといった外国自動車メーカーです。

 一部の中国メディアが揶揄するように、EUの中国自動車メーカーに対するこの「関税パンチ」は、最終的には自分たちに当たったのかもしれません。今回に限っては、中国メディアの揶揄に反論の余地はありません。

xcript