生産再開も、物流コストは少なくとも2倍に

経済誌の「第一財経」は、オミクロン株の感染拡大とそれに伴う過激な防疫対策が実施された以来、上海を中心に周辺地域の物流コストは倍以上に増加したと報じた。

3月以降、感染拡大と防疫対策の強化の影響で複数の完成車メーカーや部品メーカーが次々と生産を停止しており、自動車産業チェーンに衝撃が走っている。4月後半から、一部の企業は生産を再開しようとしているが、物流が遮断されたため、原材料や部品が入っておらず、製品が出荷できない状態が続いている。5月は状況がすこし好転しているものの、各都市間の道路封鎖は完全に解除されず、物流コストは少なくとも過去の2倍になっている。

「第一財経」が挙げた一例によると、ある自動車部品サプライヤーは、長さ9.6メートルのトラックを上海から山東省に輸送する場合、以前は5000-6000元だった輸送コストが1万-1.3万元と少なくとも2倍になった。また一般的に完成車メーカーは入札の形で物流会社を選んでいるため、価格が上がったからといって、物流会社を変えることが容易なことではない。

物流会社にとって、運転手が運送途中で強制的に隔離させられた場合、運転手の隔離費用(1日約2500元で、14日間隔離すれば数万元)、駐車料金、トラックに積んだ部品や原材料の損失費用などが膨らむ。しかも、各道路区間でバリゲートが随所に設置されて、区間ごとの検査基準もバラバラで、高い確率で輸送が中断させられる。

上昇した物流コストについて、完成車メーカーと部品メーカーの間では、物流コストの増加分の分担を巡って協議しているものの、多くの中小企業は、コストの分担に難色を示している。仕方なく、一部の実力のある完成車メーカーは自ら調達したトラックを指定場所まで派遣して、サプライヤーのトラックから部品や原材料を自社トラックに詰め替えて持ち帰る方法で対応せざるを得ない。

完成車メーカーが生産を再開しても、物流コストの問題や地域毎の防疫対策の違いに伴うリスクにより、一部の地域への配車をためらっているサプライヤーがあるだけではなく、ディーラーも車を引き取るためにその分のコストを払いたがらないのが現状である。

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