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中独データ越境流動協力覚書調印:ドイツ国内で揺れる反応とショルツ首相の不満

 2024年6月26日、中国国家インターネット情報弁公室の庄栄文主任は北京でドイツのフォルク・バイシンデジタル化・交通相と会見し、双方は「中独データ越境流動協力に関する了解覚書」に調印しました。この協力は、データの国境を越えた移動や人工知能(AI)などの分野における中独両国の交流と協力を強化することを目的としています。庄氏は、今回の覚書調印は両国指導者の協力に関する共通認識を実行に移す重要な一歩であり、このきっかけを通じてより多くの実務協力の成果を推進していきたいと述べました。バイシン氏も、データの越境流動に対するドイツの重視を強調し、覚書の実行に向けて中国と共に努力していく意向を示しました。

 しかし、ドイツのメディアによると、今回バイシン氏が中国と交わした覚書はドイツ国内で物議を醸しています。ドイツ商報の報道によると、バイシン氏はドイツ保守派の自民党に属しており、彼が中国との覚書に署名したことは、ドイツ外務省や経済省、社民党の内務省から批判を受けています。これらの重要な省庁は、バイシン氏が事前の政府内部の協議なしに署名したことに不満を示しており、国家安全保障問題に関わるこの覚書に対して懸念を表明しています。ドイツのショルツ首相も、この件について不満を公然と表明しました。

 ショルツ首相は、事前の協議が原則であると強調し、政府のメンバーは共通の規範に従って行動すべきだと述べました。この出来事は外交上の不手際であり、ドイツの外交的なスキャンダルとも言えます。

 また、バイシン氏は中国訪問中に、中国の電気自動車に対するEUの追加関税に反対し、その撤廃を呼びかける発言を繰り返しました。この問題は彼の管轄範囲外であり、彼の職責に含まれていません。ドイツのハーベック副首相兼経済・気候保護大臣が中国訪問中にこの問題について話し合ったばかりであり、経済大臣がまだ協議を続けている最中に、交通大臣であるバイシン氏が関税撤廃を強調することは異例の行動です。

 ショルツ首相が不満を表明したのは、バイシン氏が中国との覚書に署名したことだけでなく、彼の一連の言動がドイツ政府内に異なる意見があるように見えることからです。この出来事は、ドイツ政府の内部調整の問題を浮き彫りにしています。

 この件については現在、中国のネット上で、バイシン氏が中国との覚書に調印したことがドイツ政府から不満を持たれているとの報道がありましたが、記事内容はすでに削除されています。

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