Categories: その他

ソフトバンク、アリババ株を完全売却:戦略転換とリスク回避

 5月14日にソフトバンクが保有するアリババ株をほぼ全て売却すると発表した。ソフトバンクは現在、電子商取引大手のアリババからAIや半導体分野、特に傘下の英国チップ設計会社ARMへの投資に重点を移しています。

 ソフトバンクのアリババへの投資は2000年、孫正義氏が馬雲会長との短い面会だけで2000万ドルの投資を決めたことから始まりました。この投資は23年間で大きなリターンを上げ、ソフトバンクが投じた74億円は最終的に1300倍以上の9.7兆円の収益をもたらし、年平均収益率は57%に達しました。しかし、ソフトバンクは近年、アリババへの持ち株比率を徐々に減らしており、2014年の34%から2023年には0.5%弱しか残っていません。これにより、馬雲氏は再びアリババの筆頭株主に返り咲きました。

 ソフトバンクのCFOである後藤芳光氏は決算電話会議で、ソフトバンクの純資産に占める割合が45%に達したARMに投資の重点を移したことを明らかにしました。ARMは2023年9月にナスダックに上場して以来、株価は約70%上昇しています。ARMは今後さらにAIチップを開発し、2024年秋には大量生産を開始する予定であり、ソフトバンクのAI分野における重要な支えとなっています。

 今回のアリババ株売却は、ソフトバンクがポートフォリオを再配置する戦略的な取り組みであり、AI技術の大きな可能性を見据えたものです。ソフトバンクはアリババのEC分野での業績よりも、AIや半導体の今後の発展を重視しています。

 アリババが依然として成長を続けているにもかかわらず、ソフトバンクがアリババ株を売却したことは注目を集めています。ソフトバンクの近年の投資失敗を前にした孫正義氏のやむを得ない行動との見方があります。ソフトバンクは近年、複数回の投資失敗を経験しており、アリババ株の売却で資金不足を補い、新興分野に再び焦点を当てる必要があるのです。

 一方、ソフトバンクがアリババの将来性をよく思っていないという見方もあり、特に中国の民間企業の経営環境が悪化し、多くの外資が中国市場から撤退している状況では、ソフトバンクがアリババの株式を売却することは理解できる決断とも言えます。

 ソフトバンクがアリババの株式を完全に売却し、馬雲が筆頭株主になったことで、アリババも正真正銘の「中国企業」になりました。

xcript