DiDi、自動車産業に参入へ、事業見直しに向けた大きな動き

自動車総合情報サイトのauto.gasgoo.comが複数のメディアの情報を引用したところによると、DiDiのコードネーム「ダヴィンチ」の自動車製造計画は今年6月に発表される可能性がある。この計画では、まず一般向けとオンライン配車市場向けの2車種を投入する。このうち、一般向けはC1と名付けられ、15万元前後のコンパクトEVセダンである。オンライン配車向けはD1 Lightで、BYDによる生産代行モデルD1のコンパクトタイプで、将来的に傘下の「花猪打車」プラットフォームに投入される。

これは、今年初めに20%の人員削減が報じられた後、DiDiの事業見直しに向けた大きな動きとなる。

この1年は、DiDiにとって、昨年末に開示された2021年第2四半期と第3四半期の決算を見ても明らかなように、苦境にあえいだ1年だったことは間違いない。決算報告によると、DiDiの純損失は2021年Q2の242.71億元からQ3の303.75億元に拡大し、Q3の総収入はQ2より11.48%減少した。このうち、国内モビリティ業務の売上高はQ2比19%減の390億元で、収益はQ2の17億元に対し、Q3は0.17億元の赤字となった。

DiDiの業務範囲は国内モビリティ業務、国際業務、シェア自転車、貨物輸送、自動運転、金融サービスなどをカバーしている。このうち、国内モビリティ業務にはオンライン配車、タクシー、運転代行、ライドシェアなどが含まれ、DiDiの既存事業の中で収益への貢献が最も大きい部分であり、この部分の事業損失はDiDi全体の収益に直撃している。

DiDiの国内モビリティ業務が落ち込んだ背景には、まずアプリ「DiDi出行」の販売が中止されたことを挙げられる。DiDiは昨年7月、個人情報を不正に収集・使用した疑いで管理機関の「国家網信弁公室」からアプリ「DiDi出行」の販売を差し止められた

同事件の発生後、DiDiは国内ネット配車市場で新規顧客を獲得できなくなった一方で、T3出行曹操出行などの他のライバル業者はこの機に乗じて攻勢を強化し、インセンティブをばらまいてDiDiのシェアを食い込んだ。

関連データによると、DiDiの現在の1日平均注文件数は2500万件から2000万件に減少し、減少幅は20%近くに達した。一方、米市場の株価も1株当たり14ドルの発行価格から現在の4ドル前後まで下落しており、時価総額は上場当初の678億ドルから現在の193億ドルまで3分の2以上縮小している。

赤字幅が大きくなり、時価総額が大幅に減少したことで、DiDiはリストラで自助努力を実施せざるを得なくなった。DiDiの人員削減計画は先ごろメディアに明らかにされたが、その人員削減の範囲はオンライン配車、シェア自転車、貨物輸送などのモビリティ関連事業に及び、国際業務と自動運転業務に限っては及ばなかった。ある業界アナリストによると、DiDiは巨額の赤字にもかかわらず自動運転業務を手放さなかったのは、自動運転の今後の将来性とその収益性を見込んでいるからだという。

スマートカーがトレンドになるにつれ、多くの自動車メーカーが自動運転分野に参入しており、自社生産の車に自社開発の自動運転システムを搭載することが当然なことになりつつある。これは、DiDiのような第三者による自動運転技術の商業化の可能性に多くの不確定要素をもたらしている。

あるアナリストは、「DiDiの車づくりには、外部的な要因があるが、その多くは既存の事業モデルの調整に基づいている。主要業務のオンライン配車やライドシェアがコンプライアンス問題で発展に支障をきたした後、DiDiは他の収益モデルを模索する必要がある。車づくりは、DiDiが米国株から上場廃止後、香港株にスムーズに転入するためのカードを増やすことにもつながる」と指摘した。


参考記事:https://auto.gasgoo.com/news/202203/21I70294687C109.shtml

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