シェアカービジネス、経営惨憺もトラブル後絶たず

カーシェアリング市場は一時、多くの参入者に押し寄せられたが、今年はコロナ禍の大打撃で閑散としている。「泣きっ面に蜂」状態のシェアカーは最近、犯罪者に狙われ、金儲けの道具となっている。シェアカービジネスは、新たな問題に直面しつつある。

先日、広州市公安局の発表によると、同市白雲区の警察は自動車部品を盗んで販売していた犯罪グループを摘発した。このグループがシェアカーから盗んだ三元触媒コンバーターは計238個で、事件にかかわる金額は180万元を超えた。

広州では70台余り、深センでは100台余りのシェアカーは、偽物の三元触媒コンバーターに取り換えられた。車両に搭載されていた三元触媒コンバーターがなぜ偽物になったのかについて、警察は、コロナ禍のために原材料価格が上昇し、三元触媒コンバーターの出荷価格が上昇したと説明した。特に被害を受けた車種に搭載されているオリジナルの三元触媒コンバーターの中古市場での取引価格が10倍になった。

広州雲杉智行新能源汽車有限公司傘下のカーシェアリングプラットフォーム「駕唄」の徐征鵬総裁は第一財経記者の取材に対し、「同社プラットフォームのカーシェアリングはまだ三元触媒が盗まれて交換された状況を発見していないが、タイヤが盗まれたことがあった」と述べたうえ、「コロナ禍による不意打ちで、シェアカーの経営管理が難しすぎて、収益計画は全くといっていいほどたたない」と感嘆した。

「駕唄」は珠江デルタ、長江デルタ、西南地区に数千台のシェアカーを投入しているが、前期に投入した新エネルギー車ではユーザーの不適切な使用、バッテリーの減衰による航続距離への影響などが発生したため、新車を次々と交換している。車両購入費、人件費、駐車スペースの賃貸料、充電スタンドの関連施設への投資などの運営コストが膨らんだ。特に一部のユーザーによる乱暴な使い方は、シェアカービジネスの運営コストを大幅に増加させている。

ここ2-3年、徐征鵬氏は多くのカーシェアリングプラットフォームが倒れたのを目撃してきた。シェアカービジネスに手を出した多くのインターネット企業は資金繰りができなくなり、市場から撤退を余儀なくされ、例えば、「友友用車」、「中冠シェアカー」、「EZZY」、「途歌」などのシェアカープラットフォームが次々と倒れた。

完成車メーカーのバックグランドを持つプラットフォームでさえ、シェアカービジネスを支えることが困難になっている。ダイムラーとBMWの提携で展開したカーシェアリング事業「Car2Go」は、昨年6月に中国市場からの撤退を発表したのに続き、今年2月末に北米市場から撤退した。カーシェアリング市場で5年間も頑張ってきた「盼達用車」も最近苦境に立たされ、「保証金払い戻し困難」の問題が続いている。

「盼達用車」は重慶盼達汽車租賃有限公司(以下は「盼達社」)が経営する新エネルギー自動車スマートモビリティプラットフォームで、2015年に重慶市で稼働した後、杭州市、成都市、広州市などの都市で徐々に展開している。企業情報によると、重慶力帆控股有限公司と力帆実業有限公司はそれぞれ盼達社の株式26%と15%を保有している。同社の筆頭株主は重慶匯洋控股有限公司(以下は「重慶匯洋」)であり、その株式の40%を保有している。重慶匯洋の大株主は最近経営破たんした地場自動車メーカー力帆の創業者である尹明善氏だ。

力帆はこれまで、「盼達用車」を発売し、レンタカーサービスを利用して企業の資金フローの圧力を緩和しようとしたが、夢は叶わず、逆に足手まといになってしまった。シェアカービジネスは赤字が続いているため、車両をメンテナンスする人もいなくなり、利用者の保証金の払い戻しが困難になっている。重慶市両江新区市場監督管理局は先月、ネットユーザーからの苦情に応じ、「盼達社」と追及したところ、「保証金は2021年5月11日に元のルートで払い戻す約束を受けた」と回答した。

徐氏は、「多くのカーシェアリングプラットフォームが倒れたことで、今では市場関係者は頭を冷やされた」と述べた。また、多くの完成車メーカーも、自らのシェアカー運営は難しすぎることに気づき、専門会社に運営させようとする傾向が強まっている。現在の市場も悲嘆に暮れているわけではなく、専門化、規範化の方向に発展しており、充電スタンドなどのインフラはこれまでよりも整備されており、この市場はいつか春を迎える見込みがあるとの見方を示している。


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