BYD保険販売開始 – 業界に新たな旋風を巻き起こすか?

6月18日、BYDは正式に保険加入の窓口を開設し、新エネルギー車の所有者に新たな選択肢を提供しました。初期段階では、このサービスは安徽省、江西省、山東省、河南省、湖南省、広東省、陝西省の7省に限られていますが、将来的にはさらに多くの地域に広がる見通しです。BYDはWeChat公式アカウントを通じて、便利な保険加入サービスを提供しています。

BYDは保険会社「易安財険」を買収した後、2023年11月に「BYD財険」(BYD損保)を設立し、2024年5月13日に最初の商業保険証券を発行しました。この取り組みにより、BYDは自動車製造分野における強みを活かし、特に新エネルギー車分野において、より実需に即した保険商品を提供することが可能となりました。現在、新エネルギー車は保険面で「料金が高く、加入が難しい」という苦境に直面していますが、伝統的な保険会社は新エネルギー分野で損失を出すことも珍しくありません。

BYDは保険事例を分析することで、電池の保守性を的確に改善し、修理コストと保険の支払い圧力を低減します。このように、保険データのフィードバックを利用して自動車設計を最適化することは、収益性を高めるだけでなく、所有者に対して保険価格を安く提供できる可能性もあります。伝統的な保険会社と比べ、BYDはプロセスを簡素化し、不必要な中間段階を減らし、自動車保険費用を軽減することができます。

業界の専門家は、BYDの参入は伝統的な保険会社に衝撃を与え、業界全体がより個性的で差別化されたサービスへと転換することを後押しする可能性があると見ています。消費者にとって、BYD保険はより多くの選択肢を提供しています。

しかし、保険市場への参入には課題もあります。BYDは4S店やメンテナンスメーカーとの利益関係をバランスさせる必要があります。修理メーカーは損害賠償確定額が高いほうが良いと考えるのに対し、保険会社は確定損害の支払いが少ないほうが良いと考えるという矛盾は、現在の自動車保険市場に共通する問題です。BYDがこれらの利益関係をうまく調整できれば、全産業チェーンの利益の統一的な分配に役立つでしょう。

また、保険業は専門性の高い業界であり、BYDの参入はまず専門性や経験が乏しく、スケール効果も期待しにくいため、期待通りに利益を上げ、市場でシェアを拡大できるかは未知数です。

392