自動車販売の新潮流:DENZAとAVATRが直営方式から「直営+ディーラー」へ

 自動車販売の分野では近年、DENZA(騰勢)やAVATR(阿維塔)が純粋な直営方式をやめ、「直営+ディーラー」のハイブリッド方式に転換しています。この変化の背景や今後の展望について、深く掘り下げて検討する価値があります。

 BYD傘下のサブブランドであるDENZAは6月18日、チャネル展開を加速するために世界規模で「直営+ディーラーパートナー」方式を採用すると発表しました。DENZA販売事業部の趙長江総経理はSNS「微博(Weibo)」で、ブランド刷新後の累計ユーザー数が20万人を突破したと述べました。より高い販売目標を達成し、多くの地域のユーザーにサービスを提供するためには、チャネル転換が不可欠です。DENZAは全国統一価格を採用し、価格体系の透明性を確保します。これまでDENZAは直営方式を誇りにしており、管理がしやすく、より良いサービスを提供できると考えていました。しかし、現実には販売台数の拡大を支えられません。5月のDENZAブランドの総販売台数は12223台で、その大半をDENZA D9が占め、N7とN8の新車は振るいませんでした。このジレンマを解決するため、DENZAはリスクを分担するためにディーラー方式を導入しました。

 長安傘下の新エネルギー車ブランドであるAVATRも先月、チャネルを変革し、北京、上海、広州、深センなどの主要市場では直営方式を残し、それ以外の都市では段階的にディーラー提携方式に変更しました。AVATR総経理の陳卓氏は北京モーターショーで、AVATRの店舗数が今年末までに470─500店に達するとの見通しを示しました。チャネルの転換に合わせて、AVATRは直営店の従業員に転職補償を行い、ディーラー方式を通じて投資家の力を借り、自社のチャネル構築を強化しました。5月のAVATRの販売台数は前年同月比163%増の4569台でしたが、販売総量は依然として低く、急速なチャネル拡大を支えきれていません。ディーラー方式の導入は経営圧力を緩和するだけでなく、販売ルートのカバー範囲を拡大し、今後発売されるプラグインハイブリッド車の成功の基礎を築くことができます。

 消費者の視点から見ると、直営方式の利点は価格の透明性と高い効率性にあり、特に保証サービスにおいてそうです。しかし、直営方式には運用上の限界があり、地域ごとの消費者の異なるニーズに対応するのが難しいです。ディーラー方式は価格の柔軟性と多様なサービスで優位性がありますが、アフターサービスや車の返品・交換の補償面では課題があります。

 全体として、DENZAとAVATRが純粋な直営方式を捨て、「直営+ディーラー」方式に転換したのは、販売台数増加の課題に対応し、資源配分を最適化し、ディーラーの力を借りて市場のカバー範囲を拡大するためです。市場競争の激化と消費者ニーズの多様化を背景に、この転換は両ブランドの短期的な販売パフォーマンス向上と経営リスクの分散に寄与します。

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