巨額赤字で技術的に未熟、運転手の職を脅かす「Apollo Go」— 中国政府が後押しする理由

百度傘下の自動運転タクシー「Apollo Go(蘿卜快跑)」は中国で急速に拡大しており、既に広州の街頭に登場しています。このため、多くのタクシーやネット配車の運転手たちは職を奪われるのではないかと心配しています。「Apollo Go」は最近、武漢市でも大規模にサービスを開始し、同様の懸念を引き起こしています。

報道によると、広州での「Apollo Go」の運行時間は午前7時から午後11時までで、システムには停車時間が3分以内と規定されています。指定された下車場所は300カ所以上あります。武漢の完全無人運転タクシー「Apollo Go」とは異なり、広州で試行中の車両には安全員が1人配置されています。「Apollo Go」の顧客サービス担当者によると、現在は都市の状況と規模に応じて異なる車両を投入し、テストと運営を行っているとのことです。広州市では完全無人運転車両は提供されておらず、料金は従来のネット配車よりかなり低く、約1/4から1/3程度です。

中国人記者が広州市内で「Apollo Go」を利用した際、23分待って車が到着しました。利用距離は6.8キロで、23分かかりました。初乗り料金は16元、残りは21.76元で、合計37.76元でした。広州特典イベントの割引で30.59元引かれ、支払額はわずか7.17元でした。

最近、武漢での「Apollo Go」の注文が急増しており、1台あたりの1日平均注文数は20件に達し、従来のタクシー運転手の平均注文数に匹敵することが明らかになっています。

ネット配車は大量の雇用を吸収している現状があります。5月現在、中国には349社のネット配車プラットフォームがあり、計696.4万枚の運転ライセンスが発行されています。中国交通部のデータによると、中国のタクシー台数は139.13万台です。

「Apollo Go」は百度が2021年に発表した自動運転移動サービスプラットフォームで、既に北京市、上海市、広州市、深セン市、重慶市、武漢市、成都市、長沙市、合肥市、陽泉市、烏鎮市など中国11都市で有人テストを行っています。北京市、武漢市、重慶市、深セン市、上海市の5都市では完全無人自動運転サービスが開始され、正式に商用化されています。

武漢市交通運輸局の公式発表によると、現在、「Apollo Go」は武漢で400台以上の第5世代Apollo無人車を運営しています。百度の自動運転技術責任者によると、第5世代車の総製造コストは約48万元で、耐用年数5年で計算すると、1日あたりの減価償却コストは約263元、8年のネット配車の強制廃棄期間で計算すると、1日あたりの減価償却コストは約164元になります。

人件費については、武漢で運行する車両には安全員は配置されていませんが、バックグラウンドには300人以上の遠隔制御員が配置されています。遠隔制御員の月給合計は180万元(1人当り月給6000元)で、平均して1台あたり1日147元前後の人件費になります。これに1日75元の運営維持コスト(燃料、洗車など)を加えると、5年の耐用年数で計算すると、1台あたりの1日の総運営コストは485元に達し、8年で計算すると、1日386元です。

一方、いままで情報によると、「Apollo Go」平均1件あたり5キロ前後の実質料金は約5元で、1日20件で計算すると、車両の1日の収入はわずか100元にとどまり、収支の差は385元前後に達します。これにより「1台1日約400元の赤字」という驚くべき結論に至りました。

これらの数字は人々を驚かせるものであり、前期に投入された巨額の研究開発費や後期の地図メンテナンス、車両保険などのオーバーヘッドも含まれていません。

したがって、現在の運営モデルでは巨額損失が発生するのも事実であり、自動運転技術の発展について多くの深い考察を引き起こしています。

自動運転車の台頭は、伝統的な輸送業界に従事する多くの人々の失業を招くことは間違いありません。もし自動運転が現在の伝統的なタクシーやトラック、物流などのすべてのサービスに取って代わったら、多くの家庭が就職の苦境に直面することでしょう。人工知能がもたらす雇用構造の変革は、避けられない社会課題となるでしょう。

雇用に影響を与える問題だけでなく、技術の未熟さも話題になっています。最近、ネット上で話題になっている「Apollo Go」がフリーズして道路の真ん中に立往生してしまったり、道路を横断する歩行者をはねてしまったりする事例が報告されています。

このような状況に対して、多くの人々は疑問を抱いています。なぜ中国政府は百度のような民間企業を支援しているのか、特に雇用への懸念と技術が未熟な状況で、なぜこれほど急進的に自動運転タクシーを推進しているのかです。

一部の観察者は、これが現在の中国政府の管理方式と関連があると指摘しています。政府は人を管理するのに有利な方法をなんでも支持しており、特に過去3年間の新型コロナウイルス感染拡大期間中の規制から、そのメリットを実感しています。未来において多くの人の移動が自動運転タクシーによって管理されるようになれば、政府にとって有利な状況が生まれることが想像されます。これがテクノロジー管理社会の構築において重要な一環となるでしょう。

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