NIOがベルギーのアウディ工場買収を検討!EU関税対策で欧州生産を強化か

 9月19日、複数の海外メディアが、中国の新興自動車メーカーNIO(蔚来)がベルギー・ブリュッセルにあるアウディの工場買収を検討していると報じ、注目を集めています。これは、EUが最近、中国からの電気自動車に対して新たな関税を課す方針を示したことに対処するための戦略の一環とされています。

 NIOは欧州市場でブランドを確立しようとしており、すでに2年前から欧州での販売を開始していますが、その拡大計画はまだ十分な成果を上げていません。また、EUによる新たな関税政策に直面し、現行の20.8%という税率(従来の10%から引き上げられた)を軽減するために、欧州での生産拠点を設立する必要に迫られています。

 一方、アウディのブリュッセル工場は、同社初の電気自動車専用工場で、主にQ8 e-tronモデルの生産を担当していましたが、市場の需要低迷により、アウディはこの工場の閉鎖を検討しています。アウディの親会社であるフォルクスワーゲンは、Q8 e-tronの生産終了後、この工場で新たな車種を生産しない方針を決めており、このままでは工場は閉鎖され、約3000人の従業員が失業の危機にさらされることになります。すでに今月初めから、不満を抱いた従業員たちが抗議活動を行っています。

 こうした状況下、NIOがこの工場を買収すれば、欧州での生産能力を拡大できるだけでなく、地元の雇用も維持できるというメリットがあります。現在、NIOの代表団は工場を視察しており、近日中にフォルクスワーゲングループに対して正式なオファーを提出する見込みです。この取引はまだ公式に確認されていませんが、もし成立すれば、NIOは欧州での現地生産計画を加速し、輸入に依存するリスクを軽減することが期待されます。

 さらに長期的には、NIOのこの動きが中国の電気自動車メーカーにとって、国際市場での成長の一つのモデルとなる可能性があります。今後、関税政策の変化に伴い、他の中国メーカーもこのモデルを参考にし、M&Aや提携を通じて欧州での現地生産を模索することが増えるかもしれません。

 

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