カナダ、中国製品への追加関税の範囲を拡大:重要鉱産物や電池なども対象に

 カナダと中国の貿易緊張はさらにエスカレートしています。カナダ政府は9月10日、中国からの輸入品に対する追加関税の対象を拡大することを検討しており、重要鉱産物、電池およびその部品、半導体、太陽エネルギー製品を含める方針を発表しました。この措置は、カナダが中国製品に対する2回目の公開協議を正式に開始したことを示しており、協議は10月10日まで続きます。

 今回の政策発表は、カナダが10月1日から中国製の電気自動車に100%の関税を、10月15日から鉄鋼とアルミ製品に25%の関税を課すとした8月26日の発表に基づいています。これらの施策は、カナダ政府が2050年までに炭素排出量のネットゼロを達成するという目標と密接に関連しており、特に重要な製造業への投資がこの目標達成の柱とされています。

 カナダのクリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)副首相兼財務相は、ブリティッシュコロンビア州での連邦自由党の戦略会議でこの決定を発表し、カナダが米国と協調して中国からの輸入品に対する追加関税措置を進めていることを強調しました。また、さまざまな意見を反映させるため、一般向け意見募集は30日間行われると述べました。

 カナダ経済は米国との貿易、特に自動車産業に強く依存しており、両国の産業チェーンは高度に結びついています。カナダで年間生産される150万台の自動車のほとんどが米国に輸出されています。カナダは世界の電気自動車サプライチェーンにおける地位を強化するため、国内の電気自動車製造を支援するために数十億ドルを投じ、欧州の主要自動車メーカーと複数の提携を結んでいます。

 最近、米国通商代表部のキャサリン・タイ氏は声明の中で、「カナダが中国に対して強力な措置を取る決定をしたことを歓迎する」と述べ、中国の「国家主導の不公平かつ反競争的な非市場政策と手法」が北米市場指向の産業の存続を脅かしていると指摘しました。

 中国化学物理電源業界協会(CIAPS)の統計によれば、昨年、カナダが中国から輸入したリチウム電池製品は5.49億ドルに達し、中国のリチウム電池の輸出先として21位にランクインしています。

 リチウム電池は中国の電池製品輸出額の9割以上を占めており、米国は中国のリチウム電池輸出先として第1位で、昨年の輸出額は135.49億ドルに達しました。2023年、カナダが中国から輸入したリチウム電池の金額は前年同期比167.8%増加し、増加率はトルコ、オーストリアに次いで上位25位の輸出先中3位となりました。

 一方、カナダの追加関税拡大の動きは、中国から強い反発を招きました。中国商務省は9月12日、カナダの行動を「危険で無責任な一方的圧力」と非難し、両国の正常な経済貿易協力に深刻な影響を与えるだけでなく、世界のサプライチェーンの安定を脅かすと警告しました。また、最近、中国はカナダの菜種に対する反ダンピング調査を開始し、カナダが中国の電気自動車、アルミ製品、鉄鋼に追加関税を課したことについてWTOに提訴しました。

2023年中国リチウムイオン電池輸出先国ランキング(上位25ヵ国)

出典:中国化学物理電源業界協会(CIAPS)

 

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