企業情報サイト「天眼査」によると、Hycan（合創汽車科技有限公司）に新たに7件の株式凍結が発生し、凍結された総額は4116万元に達しました。凍結期間は2024年8月15日から2027年8月14日までで、執行を行ったのは広州市南沙区裁判所で、GAC Motor（Hangzhou）社に関連しています。GAC Motor（Hangzhou）社は2010年に設立され、GACが51%、Hycanが49%を出資しています。

　株式凍結とは、裁判所が企業の株式を一時的に凍結し、凍結期間中にその株式の譲渡や換金、その他の処分を制限する措置です。この凍結措置は通常、債権者の利益を保護し、訴訟の過程で企業が資産を移転するのを防ぐために行われます。

　Hycanが保有するGAC Motor（Hangzhou）社の株式が凍結されたのは、Hycanの財務危機に関連しているとされています。

　Hycanの前身であるGAC-NIO（広汽蔚来）は2018年に設立され、GAC（広汽）とNIO（蔚来）が共同で投資した合弁会社です。GAC-NIOは2019年5月にブランド「HYCAN合創」を発表し、GACは完成車の研究開発と生産を担当し、NIOはコネクテッド技術と充電システムを提供していました。「合創」という名前には、優れた製造と革新的思考の融合という意味が込められています。

　設立当初から注目を集めていたGAC-NIOですが、2020年に最初のモデル「合創007」を発売して以降、販売台数は予想に届きませんでした。その後、NIOは徐々に撤退し、GAC-NIOはHycan（合創汽車）に名称を変更しました。しかし、新たな投資家が加わったにもかかわらず、Hycanの販売実績は依然として振るわず、2021年、2022年、2023年の販売台数はそれぞれ2907台、18941台、18559台と、規模効果を達成するには至っていません。

　2024年初めには、Hycanの資金繰りが逼迫し、従業員に車の購入を強制し、個々の業績に連動させるといった措置を取らざるを得ませんでした。深刻なキャッシュフロー危機に直面していたため、人員削減も通常の手続きどおりには進みませんでした。GACは2023年初めにHycanのために融資の導入を成功させましたが、1年が経過しても経営危機は解消されていません。

　Hycanの苦境は、市場で明確なブランドポジションを確立できなかったことが主な要因とされています。GACの支援がありながらも、資源の配分が不均一で、市場競争の激化により、Hycanの将来は厳しい状況に置かれています。2024年1月から7月にかけて、GAC全体の販売台数も前年同期比で15.83%減少し、その中でも新エネルギーブランドのAIONは39.21%の減少を記録しました。GACはこれまでに直面したことのない課題に向き合っています。

　現在、Hycanは岐路に立たされており、今後の運命は市場の試練に委ねられています。