中国製EVへの新たな関税措置:EUは遡及関税を検討

 最近、EUが中国製電気自動車に対する遡及関税(税関登録時点にさかのぼって関税を課すこと)の導入を検討しているという情報が、世界の電気自動車市場に大きな波紋を広げています。

 昨年、欧州委員会は中国製電気自動車に対する反補助金調査を開始し、今年7月には、中国から輸入される電気自動車に対して17.4%から37.6%の暫定関税を課すことを発表しました。新しい関税措置が発効する前に、多くの自動車メーカーが中国で生産された電気自動車をEU市場に急いで出荷していましたが、その期待は裏切られる可能性があります。

 最新の情報では、欧州委員会は10月に加盟国に対し、中国製電気自動車に最終関税を課すかどうかの投票を求める予定です。また、関税の適用開始日が3月7日になるか、あるいは7月5日(暫定関税の発効日)になるかが決定される見込みです。

 しかし、海外メディアによると、多くの中国自動車メーカーは、EUが遡及関税を適用しないと見越していました。そのため、7月に追加関税が実施される前に、中国製電気自動車の駆け込み輸入を行ったとのことです。

 Schmidt Automotive Researchによると、2024年上半期には、西ヨーロッパの新型乗用車市場全体の3.1%を中国製乗用車が占めていたものの、中国自動車メーカーのEV新車納入台数が6月に過去最高を記録しました。

 実際、遡及関税の適用問題は今年初めから明らかになっていました。3月には、欧州委員会が中国製電気自動車の税関登録を開始する計画を発表しており、これはEUが中国製電気自動車に対して進めている「反補助金調査」の一環です。最終的に、中国製電気自動車が「不公平な補助金」を受けていると認定された場合、EUはこれら登録済みの輸入車両に対して遡及関税を課す可能性があります。

 8月9日、中国商務省はEUの電気自動車に対する暫定的な反補助金措置を世界貿易機関(WTO)に提訴し、EUの初期裁定は事実や法的根拠に欠け、WTOの規則に重大に違反していると非難しました。これに対し、EUは自らの措置がWTOの規定に適合していると主張し、調査は継続中であるとしています。

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