ファーウェイのスマートカー新会社「引望」に長安AVATAが出資:この戦略提携で見える未来

 長安汽車の新エネルギー車子会社であるAVATA(阿維塔科技)は、8月19日、ファーウェイの子会社である「深セン引望智能技術有限公司」(旧ファーウェイスマートカーソリューションBU)に正式に出資することを発表しました。この決定は、両社がスマートカー分野での提携をさらに深化させたことを示しています。AVATAはファーウェイが保有する引望の株式の10%を取得し、その取引額は115億元に達します。取引完了後、AVATAは引望の主要株主の一つとなり、ファーウェイは引き続き引望の株式90%を保有します。

 ファーウェイ内部では、2021年にAVATAへの出資を検討し、長安汽車やCATL(寧徳時代)との提携を通じて、三者での持株会社設立を模索していました。当時は実質的な提携には至りませんでしたが、ファーウェイスマートカーソリューションBUはその間、AVATAのスマート化ソリューションの提供に深く関与していました。

 複数回の討議と戦略調整を経て、ファーウェイはスマートカー技術を専門とする会社の設立を決定。2023年11月25日には、長安汽車とファーウェイが「投資協力覚書」に調印し、ファーウェイがスマートカーソリューション事業を運営する新会社を設立することが確定しました。この新会社は2024年1月16日に正式に登録され、名称は深セン引望智能技術有限公司(以下、引望)となりました。

 引望の業務範囲は、自動車のスマート運転ソリューション、スマートコックピット、スマートカーデジタルプラットフォーム、スマートカークラウド、ARヘッドアップディスプレイ、スマートライトなど多岐にわたります。ファーウェイはスマートカー分野の技術や資産、人員を引望に移管し、引望の業務と競合する業務には従事しないことを明確にしました。

 引望の設立は、ファーウェイのスマートカー業務が社内インキュベーションから独立運営に移行し、開かれた技術プラットフォームとなったことを意味しています。ファーウェイは、より多くの自動車メーカーの参加を誘致し、電動化・スマート化のオープンプラットフォームを構築することで、スマートカー産業の発展を推進していく考えです。

 三大国有メーカーの一つである長安汽車は、新エネルギー車ブランドのAVATAやDEEPAL(深藍)を通じて、ファーウェイと深く提携しています。これにより、長安汽車は15万元から30万元の市場セグメントでより強い競争力を得ることになります。また、東風やFAW(一汽)といった他の2大国有自動車メーカーもファーウェイとの提携を積極的に進めており、将来的には巨大国有企業を中心とした完成車メーカーが引望プラットフォームに参加する見通しです。

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