AVATAに続きSERESもファーウェイ引望に参入!スマートカー業界の新たな提携モデルを築く

 8月25日、SERESグループは公告を発表し、完全子会社である「賽力斯汽車有限公司」(以下、SERES)がファーウェイが保有する「深セン引望智能技術有限公司」(以下、引望)の株式10%を115億元で取得したことを明らかにしました。この買収は、SERESのスマートカー分野での重要な投資であり、ファーウェイとの提携がさらに深まることを示しています。

 SERESは7月29日に初めて「対外投資計画に関する提示的公告」を通じて、引望およびその株主と株式取得に関する協議を進めていることを公表しました。そして、1か月にわたる協議と内部決定を経て、8月23日にはSERES取締役会が今回の重大な資産再編案を審議・承認し、ファーウェイおよび引望との間で条件付きで発効する「株式譲渡協定」を締結しました。また、三者は「<深セン引望智能技術有限公司の株主協定>への加入に関する協定」も締結し、AITO(問界)ブランドのさらなる発展を目指し、世界で新しい高級車ブランドとしての地位を築くことを目標としています。

 注目すべきは、SERESが引望に出資する前に、長安汽車傘下のAVATAも同じく115億元で引望の株式10%を購入し、第2位の株主となったことです。これは、SERESにとって大きな刺激となる出来事でした。

 これまでのファーウェイとSERESの提携は、相互に補完的な関係にあると知られています。SERESはファーウェイのブランド力とマーケティング力に依存しつつ、ファーウェイのスマートコックピット、スマート運転、スマートカーコントロール、スマートカークラウド、スマート車載技術といった技術を活用しています。一方、ファーウェイにとっては、自社の技術力を他の自動車メーカーに示すための重要な「看板」としてSERESが存在しており、AITO(問界)M9はその成功例とされています。

 AITOブランドが市場に投入された後、SERESのような無名ブランドでも、ファーウェイの強力な支援を受けることで成功できることが証明されました。

 現在、ファーウェイにとってSERESは戦略的パートナーであるものの、あくまでも製造代行業者(ODM)にすぎません。双方の力関係がSERESにとって不利な方向に傾き始めています。SERESが現在最も懸念しているのは、ファーウェイとの提携が解消される可能性です。

 SERESにとって、ファーウェイとの提携における理想的なシナリオは、ファーウェイが引望に株式参入することと引き換えに、AITOブランドを完全に自社のものとすることでした。最近、SERESはAITOの商標権を取得し、さらに115億元を投じて引望に出資するという決断をしました。これらの決定は、利益を上げ始めたばかりのSERES(注)にとって大きな負担となりました。しかし、AVATAが先んじて引望株の購入を発表したことで、SERESは深刻な危機感を抱くようになりました。ファーウェイと長安汽車の関係が密接になりすぎることで、SERESが取り残される可能性が懸念されているのです。

 SERESとAVATAが相次いで引望に出資したことで、業界では同社の今後の発展について期待が高まっており、特に次なる第4位株主が誰になるのかについての議論が広がっています。

 ファーウェイのスマート化技術の優位性は、引望を通じて自動車業界での優位性をさらに発揮し、SERESなどのパートナー企業がスマートカー分野での成長を実現するのを支援しています。ファーウェイと自動車メーカーのこのような提携は、双方にとって「業務+株式」提携の新しいモデルを開拓したことは間違いありません。

 

注:8月25日に発表されたSERESの2024年上半期業績報告書によると、1-6月のSERESの新エネルギー自動車累計販売台数は200,949台に達し、前年同期比348.55%の増加を記録しました。第2四半期の収入は384.83億元、純利益は14.05億元で、いずれも前期比で増加を実現しました。

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