テスラFSDが2025年Q1中国進出へ!今回の計画は本物か?

 9月5日、テスラはX(旧Twitter)上でFSD(完全自動運転)展開のロードマップを発表し、2024年10月にバージョン13をリリースし、早ければ2025第1四半期には欧州と中国で利用を開始する予定です。ただし、規制当局の承認が前提となります。

 また、テスラはFSDの重要な技術的進展も発表し、スマート召喚(ASS: Actually Smart Summon)機能、エンドツーエンドの高速自動運転、駐車スペースへの自動駐車機能を導入する計画です。

 さらに、テスラは百度地図との提携を発表しました。百度地図はテスラに車線レベルのナビゲーションサービスを提供し、テスラの自動運転技術の中国市場への導入を支援します。

 注目すべきは、テスラがFSDの世界展開を進める一方で、イーロン・マスク氏がこれまでに何度か約束を破り、FSDの導入が遅れている点です。特に中国市場では、いくつかの課題に直面しています。2024年第2四半期の決算説明会で、マスク氏はFSDの進展に自信を示しましたが、同システムの本格的な導入は依然として中国政府の各種規制の影響を受けています。

 中国では厳しいデータ規制があるため、テスラは車外の顔認識情報の匿名化処理や、車内データの外部への送信を防止するなど、現地の規制に対応しています。この取り組みにより、テスラ車両は空港や高速道路といった敏感な地域での走行が認められていますが、FSDの完全導入にはまだ時間がかかりそうです。

 また、中国の交通事情もFSDにとって大きな課題です。信号のないロータリー交差点や、交通ルールを無視して走行する電動二輪車などは、FSDにとって難しいシチュエーションとなる可能性があります。特に交通量の多いロータリーでは、FSDが正しい車線を認識できず、車両が立ち往生することもあります。さらに、電動二輪車が頻繁に通行する中国の都市部では、FSDの認識能力や意思決定アルゴリズムが試されます。これらの予測不可能な交通状況への対応が、FSDが中国市場で成功するかどうかの鍵となるでしょう。

 今後、テスラと中国の高度なスマート運転技術を持つ競合企業との競争は、さらに激化すると予想されます。テスラが北米市場向けに開発している純粋な視覚ベースの自動運転システムは、中国の道路事情により適応しているファーウェイやXpengといった中国企業のスマート運転技術との厳しい競争に直面することになるでしょう。

 総じて、FSDの中国市場への導入にはまだ時間がかかるものの、技術の進化や地図プロバイダーとの提携、規制面での進展によって、FSDは着実に中国市場での実現に近づいています。

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