中国の電気自動車普及に伴う電力網の課題

 電気自動車(EV)と充電施設の保有が増加し、超急速充電技術の普及に伴い、EVのエネルギー補給が電力網に大きな課題を生み出しています。

 特にCATL(寧徳時代)、自動車新興企業の理想汽車、Xpeng、ファーウェイなどは、最近800V電気アーキテクチャー、4Cバッテリー、スーパー急速充電スタンドなどの技術を採用し、充電時間を短縮し、新エネルギー車のエネルギー補給の不安をさらに緩和しています。しかし、電気自動車とエネルギー補給施設の増加に伴い、電力網への負担が拡大しています。

 最近開催された「2023烏鎮座談会・自動車夜話」フォーラムでは、充電インフラ大手の特来電社の于徳翔会長が、「ひたすら充電スタンドを建設するのは誤った技術路線だ」と指摘しました。その背景として、中国各都市では新エネルギー車が急増し、電力不足が懸念されています。例えば、深セン市では2023年初に80万台の新エネルギー車があり、年末までに100万台、来年は150万台になる見込みです。

 国有電力配送会社の国家電網の産業発展部主任である奚国富氏は、「新エネルギー車の充電には『負荷が高く、電力量が小さい』という特徴があり、充電のピークが電力消費ピークと一致しているため、配電網に大きな影響を与えている」と述べました。

 新エネルギー車の保有台数が増加し、充電事業者や自動車メーカーは充電施設の建設を拡大しています「。中国電気自動車充電インフラ促進連盟」という業界団体によれば、2023年10月時点で充電インフラの累計台数は795.4万台に達し、前年比で68.9%増加しています。

 送電網は主に送電網と配電網で構成され、送電網は主に電力を輸送する役割を担い、配電網は送電網のある点から変圧器に接続され、変圧器の下に大小のスイッチが接続され、それぞれの電気を使う場所に分配されます。配電網にとって電気自動車は巨大な末端負荷であり、大量の電気自動車が無秩序に集中的に充電することは、配電網に極めて大きな衝撃を与えます。

 また、特来電のデータによると、生産・生活用電力の周期性により、電力網資産の平均利用率は40~50%にとどまっており、電力使用のピーク時には電力網には余裕がなく、今年の夏にはすでに多くの地域が電力制限措置を余儀なくされ、その中で充電ステーションやバッテリー交換ステーションの運営は大きな影響を受けました。一方で、夜間やスランプ時には、電力余裕量は60%に達しました。

 この問題に対して、最近一部の企業が、秩序ある充電、V2G(Vehicle to grid、電気自動車から送電網へ)、仮想発電所、光貯蔵・充電一体化などの提案とコンセプトを打ち出し、新エネルギー車のエネルギー補給需要の高まりと送電網間の衝突を緩和しようとしています。

 電気自動車の増加に伴い、業界全体は、V2G技術を活用して電力網へ参加し、ピーク調整やクリーンエネルギーの促進を目標とするいわゆる「充電網」の構築を模索しています。前出の于徳翔会長は、「充電網」の時代が到来しない限り、電力供給の矛盾は解消できないと指摘しています。

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