米国議会が国防総省の中国製電池調達禁止を発表、リスク懸念と「デカプリング」の動きが浮き彫り

20日、ブルームバーグにより、国防総省が中国企業6社から電池を調達することが米議会によって禁止されると報じられました。これは米議会が国防総省のサプライチェーンと中国との「デカプリング」をさらに推進しようとしたものです。

ブルームバーグによれば、米国で昨年末に成立した2024会計年度国防権限法案に基づき、米国防総省は中国の電池メーカーであるCATL(寧徳時代)、BYD(比亜迪)、Envision(遠景能源)、EVE Energy(億緯鋰能)、Gotion High-tech(国軒高科)、HiTHIUM(海辰蓄能)の中国企業6社から電池を調達することが禁止されます。

同禁止令は2027年10月に発効します。ただし、この規制は企業の商業調達には適用されておらず、米フォードがCATLから技術ライセンスを得てミシガン州で電気自動車用バッテリーを生産していることや、テスラ社のバッテリーの一部もBYD製であることなど、この禁止令は商業調達には適用されません。

ブルームバーグによれば、世界の電池サプライヤー上位10社のうち、中国企業は7社がランクインしています。中国企業が電気自動車の製造における寡占状況に対する警戒が高まっています。米共和党のテッド・クルーズ上院議員とマルコ・ルビオ上院議員は昨年12月、オースティン国防長官に書簡を送り、中国企業製電池の使用は「安全保障上のリスク」を高めると主張していました。

米国はこれまで、中国製の電気自動車用バッテリーを同国の補助金の対象から除外しようとしていました。米政府は昨年12月1日、「インフレ削減法」の細則を明らかにし、2024年から電気自動車に注目外国機関が製造または組み立てた電池モジュールが含まれ、2025年から注目外国機関が抽出・加工した電池の主要鉱物が含まれた場合、税額控除を受けられなくなるとしました。上述の細則によれば、中国製バッテリーアセンブリを使用した電気自動車は税額控除を受けられなくなります。米CNNテレビは、こうした取り組みが米国民のEV購入価格を押し上げ、2030年までにEV販売台数を全新車販売台数の50%に引き上げるという米政府目標の達成に不利になる可能性があると伝えています。

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