中国の動力電池産業、深刻な生産能力過剰に

 6月8日に開催された「2023中国汽車重慶フォーラム」で、長安汽車会長の朱華栄氏は、中国の自動車産業は大きな変化が訪れ、企業の合併や倒産が急増する見込みだと述べた。

 朱華栄氏は、「現在の自動車業界では完成車・部品分業が不安定の状態にあり、事業の境界も再構築中であり、相互に浸透する傾向にある」と指摘したうえ、新エネルギー車ではこれまでの動力電池の「供給不足、価格高騰」から今年急速に生産能力過剰に転換しており、2025年までに中国が需要する動力電池の生産能力は約1000GWHと予想されているのに対して、現在業界の生産能力はすでに4800GWHに達しており、深刻な過剰が生じる可能性があると警告した。

 業界統計によると、世界最大規模の動力電池企業で、市場シェアの約半分を占めているCATLの生産能力は2025年に670GWhに達する。BYDと長城汽車傘下のSVOLT(蜂巣能源)の2025年の生産能力計画目標も600GWhに達しており、動力電池メーカーのCALB(中創新航、旧中航リ電)の2025年の生産能力目標は500GWhとなっている。この動力電池メーカー4社の生産能力の合計だけで2025年には2300GWhを超える。また、電池業界団体が発表したデータによると、2023年第1四半期、動力及びエネルギー貯蔵電池の着工及び契約プロジェクトは24件に達し、年産能力は570GWhを超える計画である。

 中国自動車動力電池産業革新連盟副幹事長の王子冬氏は昨年末、「2023年に中国市場の新エネルギー車の成長率が低下する可能性が高い。それに対して動力電池企業の新規生産能力が増大しているため、動力電池の供給は必ず過剰になる」との見方を示した。

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