中国政府、フォックスコンに対して税務査察と用地調査、郭台銘氏の台湾総統選出馬阻止が狙いとの見方も

 10月22日、中国政府系メディア「環球時報」によれば、中国の税務部門は最近、法的根拠に基づいてフォックスコングの広東省や江蘇省などの主要企業に対する税務査察を実施し、同時に自然資源部門がフォックスコンの河南省や湖北省などの主要企業の土地利用状況を現地調査しました。

 税務当局はフォックスコンを調査する理由については説明していませんが、フォックスコンの創業者である郭台銘氏は、2024年の台湾総統選に独立出馬を表明しており、中国政府は郭氏の出馬に強く不満を示していると報じられています。したがって、今回の税務査察は、フォックスコンへの圧力を通じて、郭台銘氏の台湾総統選出馬を阻止しようとする可能性があるとの見方が広がっています。

 過去に、中国政府が企業や著名人に対して警告や圧力をかける手段として、まず税金の調査が一般的でした。アリババグループの共同創業者で、かつてアジアの大富豪の一人であった馬雲(ジャック・マー)氏も、中国本土で大規模な税務調査を受けたことがあります。

 前出の「環球時報」によると、アモイ大学台湾研究院副院長の張文生氏が20日に行ったインタビューのなかで、法的違反の疑いのある企業に対する税務査察と土地利用状況の調査は法に基づいた正当な行政手続きであり、合法的であると述べました。フォックスコンの傘下企業は査察と調査に積極的に協力すべきであり、もし法的違反が確認されれば、その過ちを認め罰せられるべきだと表明しました。

 フォックスコンも2005年から香港軒盛投資有限公司(以下は「軒盛」)を設立して不動産開発事業を始めました。2005年前後から、軒盛は上海、長春、貴州、太原、深セン、武漢、重慶などの地域で住宅や商業用地を取得しており、中でも上海陸家嘴の上海本社「富士康ビル」プロジェクトが最も注目されています。それ以外にも、2009年に重慶商業地所、2012年に長春の「玉蘭新天地」、2013年に貴州の「富士康商貿城」、2015年に楽山商業貿易複合体に投資しましたが、その後これらのプロジェクトの情報はほとんど伝わってきませんでした。唯一の住宅分譲事業である武漢「軒盛・湾郡」事業と武漢富士康工業団地近くの別荘事業が2010年と2011年に開始されました。

 今回、中国政府による税務査察と用地調査は、フォックスコンの不動産事業を対象に行われる可能性はあると考えられています。

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