恒大汽車、許家印会長の逮捕により株式売買停止措置を受ける

 9月29日、大手不動産ディベロッパーの中国恒大は、公式発表を行い、政府関連部門から、当社の執行役員および取締役会会長である許家印氏が違法犯罪の疑いにより法的措置を受けるとの通知を受けました。また、中国恒大、恒大汽車、恒大物業の恒大系3社は、2023年9月28日の午前9時をもって株式取引を一時停止することを発表しました。

 「一時停止」(trading halt)とは、香港証券取引所の規則に基づいて、資料開示を待つために発行体の証券取引を最大2営業日中断する措置を指します。一時停止が2営業日を超えると、自動的に取引が停止します。

 この前日に、許家印氏が政府関連部門により身柄が拘束されたとの情報が流れて、香港株式市場における「恒大系」の株価は急激に変動しました。中国恒大の株価は前日終値から19%以上下落しました。恒大汽車の株価は20%下落し、恒大物業の株価は14.5%近く下落しました。これにより、恒大系3社の時価総額はわずか167億香港ドルと、ピーク時の1%未満にまで落ち込みました。

 実際、これまで「恒大系」3社は長期間にわたり取引停止状態にありました。2022年8月28日に中国恒大が取引を再開するまで、取引停止から17カ月が経過していました。恒大汽車は10ヶ月以上の取引停止後、2023年7月29日に取引を再開しましたが、初日から株価が急落し、取引終了時点で61.25%の急落となりました。

 恒大汽車は、時価総額で一時期BYDを抜いて国内最大の自動車メーカーになりましたが、親会社中国恒大の不動産事業の暴落に巻き込まれ、その時価総額はピーク時の98%減少しました。

 また、2022年末時点の中国恒大の負債総額は2.4兆元、総資産は1.8兆元です。恒大汽車の負債も増加しており、2022年末時点の負債総額は1805憶元、総資産は1152億元で、恒大汽車も深刻な債務超過の状態にあります。

 最新の決算報告によれば、2023年上半期における恒大汽車の業績は不振で、収入は1.55億元で、粗利益率は0.61億元の損失、純損失は68.73億元となりました。不動産事業の分離損失、非事業性損失、自動車事業の損失が含まれています。一時停止後、恒大汽車の自動車事業にどのような影響が出るかはまだ明らかになっていません。

 中国恒大は8月14日、恒大汽車がアラブ首長国連邦のEVメーカーであるNWTNから5億ドルの投資を受け、恒大汽車の株式比率が約46.86%に希薄化し、恒大汽車は中国恒大の子会社ではなくなると発表しました。計画によれば、取得した資金は恒大汽車の生産と海外市場拡大に投入され、恒大汽車は新しいモデルの量産を計画しています。現在、恒大汽車の傘下には「恒馳5」というモデルがあり、今年上半期の販売台数は760台にとどまっています。

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