吉利とルノー、パワートレイン分野での合弁企業設立を発表

地場メーカーの吉利(Geely)は7月11日、自社、吉利ホールディングス、ルノーとの出資契約と合弁企業契約を締結したことを発表しました。この契約により、両社はパワートレイン業務に従事する合弁会社を設立し、各社が合弁会社の株式の50%を保有することで合意しました。

公式発表によれば、新会社はルノーグループと吉利が共同で率いり、取締役会のメンバーは両社が半々で占め、共同で会社の成長戦略を策定・実行することとなります。初期段階では、ルノーグループの運営センターはマドリードにあり、吉利の運営センターは杭州湾に位置しています。両センターを通じて、業務の継続性を確保する予定です。また、新会社の本社はイギリスに設置され、経営チームが配置され、運営を統合し、シナジー効果を追求し、将来の成長計画を決定する予定です。新会社は、欧州、アジア、南米に5つの研究開発センターと17の工場を持ち、従業員数は約19,000人になる見込みです。

日産は以前、知的財産権の流出懸念から、ルノーによる傘下関連事業の分割や吉利との合弁会社設立に反対の姿勢を示していました。

今回のルノー側の声明によれば、ルノーグループと吉利は関連する知的財産権をマドリードと杭州湾に移管し、新会社が将来のパワートレイン技術を完全に自主開発し、各市場の需要に応えることができるようにするとされています。

新会社が正式に稼働すると、ルノー、吉利汽車、ボルボ、プロトン、日産、三菱自動車、PUNCH Torinoパワートレインなど、複数のブランドにサービスを提供する予定です。

ルノーと吉利が提携した背景には、プラグイン・ハイブリッドの開発があると考えられています。ルノーグループのCEOであるルカ・デメオは、双方が共同で開発を進めるプラグイン・ハイブリッド技術が、自動車産業チェーンの重要な要素であり、数十年にわたって持続的な役割を果たすと述べています。

過去2年間、中国国内でプラグイン・ハイブリッド市場は急速に成長しており、プラグイン・ハイブリッド車の販売台数の伸び率は純電気自動車を上回っています。吉利汽車は2021年10月に新しい動力ブランド「雷神動力」とモジュール化スマートハイブリッドプラットフォームを発表しました。今年5月には、新世代の雷神電混8848動力システムが搭載された吉利銀河シリーズ製品が発売されました。これらの取り組みを経て、吉利汽車はプラグイン・ハイブリッド技術において先駆的な存在となっています。

1993年以降、ルノーは中国市場に2回進出しましたが、2回とも失敗に終わりました。2020年4月、ルノーは東風汽車集団との6年以上にわたる合弁関係に終止符を打ちました。今回の吉利との提携によって、ルノーの中国での目覚ましい発展が実現するのか、注目したいところです。

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