緑ナンバー廃止提案中、2年以内に非主流の新エネ車メーカー大量倒産へ

中国の新エネルギー自動車産業の急速な発展は、製品競争力の向上のほかに、購入税の徴収免除や新エネルギー補助金、および「緑ナンバー」と言われる登録、使用段階の差別化政策が大きな役割を果たしている。うち、緑ナンバーは新エネ車の発展を支えるうえで最も重要な政策である可能性がある。

周知の通り、中国の主要都市では、交通渋滞を理由にナンバープレートの発給に抽選や入札などで制限をかけている。現在、北京、上海、天津、広州、深セン、杭州および海南省全域、貴州市中エリアなどはこうした規制が導入されている。これらの都市や地域では、新エネ車奨励のために購入者に専用の「緑ナンバー」を無料で発給している。例えば、上海や広州などの都市では、普通ナンバープレートを手に入れるために、車一台分に相当するコストがかかるが、新エネ車を購入するなら、無料で緑ナンバーを入手できる。ナンバープレートが無料になっただけではなく、緑ナンバーの車両は、道路税の免除や走行規制なしといった「超国民待遇」が与えられている。緑ナンバー政策が奏功し、新エネ車が買われている一方、ガソリン車の販売台数も急落し、在庫が積み上がっている。

総市場はほとんど拡大していないか、むしろ縮小傾向になっているなかで、新エネ車市場の伸長は、ガソリン車市場の犠牲を代償に達成したものである。

2022年のガソリン車小売販売台数が前年比230.2万台減の代わりに新エネ車が268.7万台増加した。2023年1月のガソリン車販売台数はさらに前年比44.8%減と、昨年同期より半減した。

東風汽車から始まったガソリン車値下げ合戦は、全国の自動車市場を混乱させた。本質的には、ガソリン車の在庫圧力が限界に来ているということである。

最近、緑ナンバーがもたらすマイナス効果は業界関係者に注目されている。

乗連会幹事長の崔東樹氏は、「行き過ぎた差別的な新エネ車専用ナンバープレートは、自動車産業の健全な発展をゆがめている。一部の省や市が打ち出した政策は、形を変えて交通法規執行の制約となる」と指摘した。

現在、総販売台数に占める新エネ車はすでに27.6%(2022年)のシェアに達し、市場で足場を固めているため、従来の自動車と異なる交通法規を適用する理由はなくなっている。また、いつまでたっても新エネ車を優遇すると、国の税収減につながる。

崔東樹氏によると、乗連会はすでに国の関係部門にナンバープレートの統合(緑ナンバーの廃止)を提案しており、今後2年間で実施される可能性があるとの見通しを示した。

今年1月から国の補助金が廃止され、新エネ車の販売台数に一定のインパクトを与えたが、影響は限定的である。それは緑ナンバー政策が継続されているためである。緑ナンバー車は全国のどこでも走行、使用制限の影響を受けず、道路税、購入税の優遇もある。

こうした政策上のメリットが消費者の電車選択を大きく後押したが、緑ナンバーが廃止されれば、かなり多くのユーザーは、ガソリン車やハイブリッド車に移行したり、戻ったりして、電気自動車のシェアは伸び悩むか縮小する可能性はある。

このような事態が起こると、新エネ車産業ではなにが起こり得るかは容易に想像できる。

中国自動車産業には、外資系合弁メーカーは18社、地場メーカーが20社以上、近年新エネ車に参入したいわゆる新勢力メーカーが70社以上あり、合計100社を超えている。しかし、新エネ車事業で黒字を出しているのは、テスラ中国、BYDと上汽GM五菱の3社のみである。新エネ車のシェアが急速に拡大している局面でさえ、NIOやXpeng、理想汽車などの新勢力を含めてほとんどの新エネ車メーカーは大規模な赤字を抱えており、短期的に儲かる見込みはない。

先日、「四車線」という自動車市場セミナーのライブ配信では「死亡カウントダウン、非主流の自動車メーカーはどう生き残るか」というテーマが取り上げられた。「非主流」とは、月間販売台数5000台以下の新エネ車メーカー、或いは年間10万台以下の伝統メーカーと定義された。パネリストたちは、新エネ車メーカーのうち上位6‐8社以外は、生き残る確率が低いと指摘したうえ、名指しで、LeapMotor(零跑)、Weltmeister(威馬)、ENOVATE(天際)、AIWAYS(愛馳)などの新勢力ブランドが消えるだろうとのショッキングな発言をした。一方、伝統メーカーは吸収合併を通じて再編され、形を変えて温存する可能性はあるとの見方を示した。

いずれにせよ、緑ナンバーの廃止とともに、2年以内に非主流の新エネ車メーカーの倒産ラッシュが訪れるということが予想できる。

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