生産再開できなければ、5月には中国のすべてのOEMが操業停止へ

上海を始めとして中国各地で導入されている過激な新型コロナウイルス感染拡大抑制措置の影響をうけ、サプライチェーンが寸断し、多くの自動車メーカーは操業停止を余儀なくされている。

ベンチャー系自動車新勢力のXpeng(小鵬)の創業者である何小鵬氏は4月14日夜、SNSを通じて「上海と周辺のサプライチェーンが感染対策下の操業再開方法を見つけられなければ、5月には中国のすべてのOEMが操業を停止する可能性がある」と警告した。

何小鵬氏の懸念に対し、ファーウェイのコンシューマー事業CEOで、スマートカーBUのCEOを務める余承東氏は同感を示している。余承東氏は「上海の生産が再開できなければ、経済的に大きな代償を払うだろう。5月以降、上海のサプライチェーンに関わるすべてのテクノロジーやインダストリーは全面的に生産を停止し、特に自動車産業は間違いなくこうなるのだ」とSNSを通じて述べた。

吉林省と同じく、上海とその周辺を含む長江デルタは自動車業界の集積地である。中国自動車技術研究センターによると、エンジン、トランスミッション、および新エネ車の動力電池、駆動モーター、電池制御システム、減速機などのコア部品サプライヤーのうち、長江デルタに立地する企業の割合はいずれも50%近くか50%を超えている。同地域の操業が停止されれば、全国の自動車産業の操業停止を意味する。今回の感染拡大の影響で、多くの自動車メーカーの生産ペースが乱されている。一汽VW、一汽トヨタ、テスラ、上汽VW、およびベンチャー系自動車新勢力のNIO(蔚来)などの自動車メーカーが影響を受けている。

交通運輸省は4月12日に、道路交通の感染抑制と物流円滑化の両立を呼びかけ、高速道路や一般道路を無断で遮断したり、閉鎖したりすることを厳禁する通達を出した。その後、一部の自動車メーカーが徐々に生産を再開したとの報道は増えている。

ただしSNS上の投稿を見ると、数えきれないほどの物流車両は依然高速道路の路肩に止められている光景は撮影されており、物流が改善された様子は見られていない。各地で過激な感染抑制措置が続いているのに、すぐに生産が再開できるはずがないと、生産再開の発表や報道の信ぴょう性に対して疑問の声もある。

乗連会(乗用車市場情報連席会)のデータによると、4月1-10日の乗用車小売は前年同期比32%減の24.6万台、前週比67%減、前月同期比39%減であった。つまり、4月1-10日は3月1-10日よりも16万台の販売損失が計上された。

例年3、4月は中国の自自動車市場にとって重要な時期である。4月の北京・上海モーターショーで新車のほか、旧モデルからのモデルチェンジも数多く発表する。メーカーは3月中に在庫車をディーラー経由でユーザーに売り切って、新車の注文に備える。

しかし感染拡大と抑制対策が頻繁に繰り返されており、ユーザーの来店数が減る一方である。一部の地域では「ゼロコロナ」より先に来店者数が「ゼロ」になっている。

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