新エネ車市場が3ヵ月連続で前年割れになった要因

中国の新エネ車市場は3ヵ月連続で前年割れとなった。新エネ車補助金の後退は、期限前の前倒し購入を引き起こし、その後の反動で市場は落ち込んだと思われるが、前年割れが3ヵ月続いた理由は、駆け込み需要の反動だけでは説明できないかもしれない。

要因1:リース方式が変わり、法人市場が冷え込む

10月16日、小鵬汽車の何小鵬董事長は、新エネ車が法人市場データを差し引いた後、実際の消費者に販売した個人市場データは十数万台に過ぎないことを示した。

何小鵬氏のSNS投稿

ただ、今年1-8月の新エネ車の登録台数(保険数)は、個人ユーザーが全体に占める割合は30.3%と依然として新エネ車の主要購入母体であることを示している。

1-8月新エネ車購入者属性別構成比(保険加入数)

 

では、何小鵬氏の指摘と実際のデータはどちらが真実に近いなのか。

両者の違いについて、自動車メディアの第一電動が一部の関系者に聞いた。関係者らによると、これまで補助金を請求しやすいように、ネット配車企業が自社の代わりにドライバーに个人名義で保有させる場合は多かったため、データ上法人市場の台数が過小評価されている。法人市場の本当の割合はしばらくわからなくても、法人市場は確かに新エネルギー乗用車市場の大きな構成部分であり、法人市場の成長もずっと新エネ車市場の急成長を支えてきた。

しかし、ここ2ヵ月間、法人市場も異変が起こり、新エネルギー乗用車市場の落ち込みの一因となっている。

第一電動が入手した情報によると、中国国内最大のモビリティ・プラットフォーマーであるDiDiをはじめとして、ネット配車企業は次々と車のリース方式をファイナンスリースからオペレーティングリースに変更している。

「例えばファイナンスリースの場合、ドライバーはネット配車企業に毎月一定の料金を払い、約定期終了後、車はドライバーの所有物になる。ドライバーがネット配車企業からお金を借りて車を入手し、分割払いの形で借金を返済している。ネット配車企業にとって、車という固定資産は、最終的にドライバーに買い取られ、企業自身が固定資産を過度に抱えることはない。

しかし、オペレーティングリースに変更された後、タクシー会社と同様に、車はネット配車企業に属し、ドライバーは企業からレンタカーのように車を借りて運営するようになっている。この方式では、車がネット配車企業にとって固定資産の負担となり、リスクも大きくなる。以前、ネット配車企業は一度に500台から1000台規模の車をまとめて購入することができたが、リース方式変更後、自社固定資産の膨らみを嫌って、今は、それほど多くの車を一度に購入することができない」と業界関係者のZ氏は、DiDiなどの政策調整が最近のネット配車市場の需要を後退させた主な原因だと強調した。

またZ氏によると、現在の多くの都市のオンライン配車市場は飽和状態にあり、増加する余地は非常に限られている。これは、今年7月に杭州で第一電動機を調査した際に得られた結果と整合している。杭州現地の新エネ車ディーラーによると、今年の大口顧客数は、前の2年に比べてはるかに少なく、下半期に入ってからさらに悪化した。現在、杭州市のネット配車規模は約6万台だが、このうち約1万台は遊休状態となっているそうだ。

このように、全国でネット配車車両が「EV限定」の動きが進んでいる状況の中でも、ネット配車企業のリスク増、ドライバーの収入減、市場の飽和状態、電気自動車の航続距離不安などが、新エネ車の法人市場の前に立ちはだかる難題となっている。これらの難題が深刻化するにつれて、法人市場が冷え込むのも無理はない。

要因2:個人市場で競争力不足の新エネ車は、旧基準ガソリン車の値下げの衝撃を受けた

5月に中国中海同創董事長の李金勇氏が、メディアのインタビューで、「国六排出基準の実施は、新エネ車市場に与える衝撃が非常に大きく、国六の導入に伴い、旧基準の車種は、値下げ幅を拡大し、国五基準のガソリン車は、コストパフォーマンス的には新エネ車をはるかに上回っている」と言及している。

新エネ車にはランニングコストでは優位性がある。しかし、国五基準車種の大幅な値下げに伴い、ガソリン車のイニシャルコストが下がり、新エネ車のランニングコスト優位性は、競争力を維持するには不十分となった。それに、ここ数ヶ月に頻発した新エネ車発火事故の報道や、新エネ車の悪い残価率問題などにより、新エネ車に対する消費者の関心度が高まりにくくなり、新エネ車市場の一部のシェアが、旧基準ガソリン車の在庫処分により食われたことは確かだ。

旧基準ガソリン車の在庫処分による影響のほか、購入制限都市の枠拡大の動きも、消費者の買い控えを引き起こしている。

登録制限都市の一部は、規制を緩和し、枠を拡大したが、それは、新エネ車市場の好転に寄与するどころか、逆にほかの登録規制都市の消費者に、政策緩和への期待を抱かせることになり、様子見のムードを強めている。


参考記事:https://mp.weixin.qq.com/s/_Li1Sk-XJyxWnwp7vZ867A

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