儲からない小型電気自動車、掛け声だけで終わる商売になるか

長城汽車傘下の新エネ車ブランドORAは主力2車種のWhiteCatとBlackCatの受注を停止したことが業界の憶測を呼んでいる。

ORAだけでなく、現在、新エネ車市場全体は半導体やバッテリー供給不足の課題に直面している。第一財経記者がこのほど新エネ車市場を調べたところ、複数の新エネ車メーカーの納車期間が延長されていることが分かった。ベンチャー系自動車新勢力のXpeng(小鵬)の場合、納車期間がもっとも短い「p7」でも、少なくとも3カ月ほど待たなければならない。地場メーカー吉利傘下の新エネ車ブランド「幾何汽車」の小型EV「EX3」が昨年11月に発売されたものの、多くのユーザーは今でも車を手に入れず、納車期間が何度も延長されている。

ORA BlackCatなどの小型EVはここ2年間、低価格戦略で急速に市場を獲得してきたが、コストの上昇に伴い、販売台数が増えれば増えるほど赤字も膨らんでいる。

ORAブランドCEOの董玉東氏は「長城汽車のコスト管理でさえ、これ以上コストを削減するのは難しい。他社のA00クラスの小型EVは、WhiteCatとBlackCatよりも赤字が大きい可能性はある」と述べたうえ、新エネ車の直接材料費(Direct Material Cost)は比較的透明で、現在の市場とコスト分析から見ると、航続距離300km以下のエントリータイプはほとんど赤字で、費用の資産化、コストの転嫁などの財務処理で帳簿上の損失をごまかしているメーカーもあるかもしれないが、ほとんどの車種の直接材料費は販売価格と補助金を足したものに等しいので、赤字は確実だと説明した。

「原材料価格が上昇すれば、赤字はさらに悪化する」と指摘した董氏は、バッテリーの原材料価格の上昇はまだ終わっておらず、コスト圧力がさらに高まるとの見方を示した。30度電力で航続距離300km以下の小型EVの例で言えば、全体のコストは7000元ほど増加した。そのうちバッテリー価格の上昇分は約3100元~3500元で、補助金の後退によるコスト増は約3400元増加になると説明した。

これに伴い、バッテリーの原材料であるニッケル、マンガン、コバルト、リチウムなどの価格が上昇しつづけており、特に炭酸リチウムは1年で1トン当たり5万元あまりから約43万元に上昇し、7倍以上も上昇した。

新エネ車業界にとって、現在は全般的に赤字の状況にある。ベンチャー系のNIO(蔚来)、理想、Xpeng(小鵬)などはいずれも赤字状態にあり、テスラでも黒字化には何年もかかった。乗連会幹事長の崔東樹氏は記者の取材に対し、「現在も新エネ車メーカーの多くは赤字状態にある。新エネ車メーカーが黒字化を実現するにはまだ長い道のりがある」と述べた。

自動車メーカーの立場から言えば、ダブルクレジットを考慮せざるを得ず、ガソリン車の生産を維持するためには、対応する新エ車の生産を拡大する必要がある。新エネ車の中には利益を出しにくいものもあるが、プラスクレジットに貢献するので、多少の赤字でも小型EVにはそれなりの存在意義がある。

しかし、新エネ車の販売台数の急増に伴い、現在クレジット取引相場は低下している。前出の董氏によると、昨年の相場は2500-3000元であったが、現在は500-800元まで下がっている。クレジット取引相場の低下は、新エネ車メーカーがクレジットを売ることで収入を得ることができなくなったことを意味し、小型車を中心とする新エネ車メーカーは厳しい経営にさらされている。

ちなみにORAはこのほど、ORAアプリで「GoodCat(好猫)GT」の値上げを発表し、上げ幅は1.2万元に達した。これまでのGoodCat GT版の販売価格は補助金適用後13.5万元だったが、今回の調整で14.7万元となる。


参考記事:https://www.yicai.com/news/101327848.html

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