中国の乗用車分野、2027年にカーボンピークアウト達成の見通し

2023年6月12日から13日にかけて、「2023中国自動車低炭素・持続可能な発展フォーラム」が行われました。このフォーラムで、「自動車産業『ダブルカーボン(注)』研究白書」が発表され、以下のポイントが注目されています。

自動車の使用段階における炭素排出の削減は、自動車産業の排出削減の60-80%に寄与しています。自動車の使用段階における炭素排出量は、126.3-260.5g/CO₂e/kmであり、電動化が進むにつれて、炭素排出量は低くなっています。さまざまなパワートレインの場合、排出量は以下の通りです:メタノール自動車MFV>ガソリン車ICEV>ハイブリッドFHEV>プラグインハイブリッドPHEV>水素燃料電池車FCEV>純電気BEV。従来の内燃機関を使用する車種では、ICEV、FHEV、MFVなどは使用段階での炭素排出割合が70%以上であるのに対し、BEVやFCEVのように電動化が進んだ車種では、使用段階での炭素排出割合が60%前後になっています。

電動化は炭素排出を減らすことができますが、その削減には高い経済的コストがかかります。自転車の全ライフサイクルにおける炭素削減の経済的コストを見ると、BEV>PHEV>ICEV>FHEVの順であり、BEVのコストは1.36万元/t CO₂eに達しています。

現在のエネルギー構造の下では、BEVの排出削減効果は最適ではありません。車両サイズが小さいほど、BEVの排出削減の利点が明らかになります。A00/A0クラスの車種の中では、BEVの排出削減の優位性がはっきりと示されており、車種のサイズが大きくなると、BEVの動力電池の積載量が増え、生産段階や電池の交換やメンテナンス段階での炭素排出に不利な影響が出ます。

FHEVは、炭素排出削減と炭素経済コスト削減を両立させた技術であり、特にAクラス以上の車種ではそのメリットが大きいです。A級以上の車種では、FHEVの炭素排出量はICEVより20-25%減少し、同時にその単位あたりの炭素削減コストは低い水準にあります。

PHEVの排出削減効果は、ユーザーの日常的な使用習慣に依存します。電気(電動モード)での走行割合が高いほど、その排出削減効果と炭素削減経済性が優れています。電気使用割合が70%を超えると、その炭素排出量はFHEVと同等になります。電気使用割合が25.5%に上昇すると、PHEVの炭素削減コストはBEVを下回り、さらに97.6%に上昇すると、PHEVの炭素削減コストは炭素取引価格を下回るレベルになります。

市場の電動化率の向上に伴い、自動車の平均炭素排出量は年々減少しており、乗用車の廃棄や抹消の管理を強化することで、乗用車分野では2027年にカーボンピークアウトを達成できる見込みです。これは、「省エネ・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」に設定された2028年の目標よりも1年早く前倒しで達成されることになります。

注:「ダブルカーボン」とは、2020年より中国が掲げている脱炭素政策(2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラル)を指します。

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