新規ネット配車車両の「EV限定」で、ドライバーから悲鳴続出

 9月末、鄭州交通運輸局は「市街地タクシー事業者の新エネルギー車両の使用関連事項に関する通知」を発表した。同通知によると、鄭州市市街地で2019年10月1日からオンライン配車の新規登録と巡回タクシーの更新は、業界の公式サイトで公示された電気自動車(EV)を使用しなければならない。

 9月初めに発表された「深セン市インターネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法(改正草案)」でも、深セン市が新たに登録するネット配車車両は電気自動車でなければならないと明記されており、それ以外に広州、江門、昆明、恵州、仏山などの都市も同様な措置を導入している。

 「EV限定」の動きの下で、ネット配車の運営側、ドライバーが悲鳴をあげている。

 柳さんが2016年末にネット配車ドライバーになってから、3年になっている。彼の吉利EVは昨年旧正月後にガソリン車から買い替えしたものだ。

 柳さんは、電気自動車に乗り換えて燃費コストの節約によって働く時間を減らして、家族と過ごす時間が増やせると期待していたが、「電気自動車を使い始めた後、毎日14時間以上、路上で過ごさなければならず、家に帰ってからは疲れている。家族と一緒にする時間が増えるどころか減るばかりだ」とし、「電気自動車への買い替えを後悔している。燃費がよくても、時間とコストが合わない。今後、ネット配車がEV限定になれば、状況はさらに悪化するだろう」と話した。

 まず充電が不便だ。「充電ステーションが不足で、市街地では5キロ以内に数ヵ所を見つけることができるが、坪山、龍華、龍岡一帯では充電できる場所が見つからない」。充電ステーションに到着しても30分以上並ばなければならないことが多い。「充電時間が長く、充電が終わってもぐずぐずしてすぐに車を出さない人もいる」。充電時間を含めて、柳さんは毎日2時間以上も充電ステーションにいなければならず、収入にも影響が出ている。

 充電料金は時間帯により変わる。料金がやすい時間帯は大体7時~9時、11時~14時、17時~19時だが、困ったことに、これらの時間帯は商売のピーク時と被っている。

 充電コストを節約するためには、商売のチャンスを諦めなければならず、商売チャンスをつかむためには、ピークが終わった後の高い電気料金と長い行列を我慢しなければならない。「本当に難しい選択だ」と柳さんは溜息を吐いた。

 ちなみに、電気料金が高い時間帯では、1度当りは1.6元/度~2.2元と高いのに対し、安い時間帯では0.8元と半額以下だ。

 柳さんの事例では、充電などの不便さが残りながら、高い時間帯の電気料金を使っても、実際ガソリン車と比べて100キロ当たりのランニングコストが安い。しかし、購入コストを考慮すると、状況が変わる。

 同じ「EV限定」の広州市でネット配車をやっている李さんは、「広州はガソリン車のナンバープレートを制限し、運営資格の取り扱いが非常に面倒」だから、先輩のアドバイスを聞いて、ある自動車金融会社の「リースで購入する」プランを利用して14万元ほどの電気自動車を、毎月5000元近くの「リース料」を36回払うことで購入した。李さんが支払う総額は17万元を超えている。

 これまで、自分でローンを組んで直接にディーラから電気自動車を買おうとしたが、ネット配車に適した車種が、自動車金融会社にすべて買い占められたことが後で分かった。

 もっとも大げさなのは、日産シルフィの電気自動車が発売されてまだ半月も経っていないのに、すべての在庫が自動車金融機関によって買い占められたことだ。「全広州の4S店では絶対にこの車の現車が手に入らない」とある業者から偉そうな口調で告げられた。

 「購入資金を持っていないお前が悪いと言われるとそれまでだが、毎日十数時間苦労して得た収入は、ほとんど金融会社に収めなければならないなんて悲しすぎる」。

 李さんによると、ネット配車は「リースで購入する」商売は前からあったが、「EV限定」後は主流になっている。特に一部の大都市では、オンライン配車の運営資格が厳しく制限された後、これらの金融機関は「リースで購入する」商売を重点業務と位置付けている。「納車後、これらの機関はさらにプラットフォーム管理費やら、運営維持費やら、新たなサービス項目を設けて料金を徴収している。いまネット配車車両のEV限定が進むと、これらの機関はもう嬉しくてたまらないだろう」と李さんは指摘した。

 リースでEV新車に乗り換えた同僚がほぼみんな毎日十数時間働いている現状をみると、李さんは少し落胆した。彼にしてみれば、14万元ほどの電気自動車を、リースで総額17万元で購入したのは、まさに大きな「地雷」を踏んだことだ。

 古いガソリン車からEVへの買い替えを検討しているドライバーの張さんは、「今は1注文当たり20%のプラットフォーム利用料が取られると言っているが、実際は25%かそれ以上だ。仮に1回の注文は20元で1日に30回の注文があったとしても、プラットフォーム利用料、飲食や充電料を差し引くと、利益は微々たるもんだ。そのうえローン返済があると、この商売は成り立たないじゃないか」と、引き続きドライバーをやるかどうかを躊躇している。


参考記事:https://www.iyiou.com/p/114747.html

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