フランス、中国製電気自動車を補助金政策から除外へ

 フランス政府はこのほど、欧州製電気自動車を購入する消費者にインセンティブを与える目的で、電気自動車補助金の資金配分を見直す方針を示している。

 マクロン大統領の新政策によると、将来的に5000ユーロの補助金の支給は、電気自動車の生産過程における二酸化炭素排出量に直接連動する。この一見「合理的」な新規制の背後に隠されているのは、中国製電気自動車に対するフランス側の政策転換である。

 低炭素発電比率が60.3%に達しているEUを除けば、いわゆる自動車製造工程において低炭素化の要件を満たすことができる国と地域は存在していない。これを考慮すると、フランスの新政策は、EU以外のすべての自動車メーカーを対象とした事実上の差別的な政策に転換していることも意味する。

 現在の政策では、価格が4.7万ユーロ以下、重量が2.4トン以下の電気自動車であれば、5000ユーロの補助金を受ける資格がある。

 一連の政策支援により、フランスでは電気自動車の普及率が上昇している。今年第1四半期、フランスの電気自動車新規登録台数は前年同期比49%増の64859台に達し、新車販売に占める比率は15.4%に達した。前年同期比25%増のプラグインハイブリッド車を含めると、フランスの第1四半期の新エネルギー車比率は24.1%に達している。

 ただ、こうした補助金を受けている電気自動車の4分の1は中国からの輸入されたものである。その中には販売台数1位のテスラModel Y(テスラ中国製)、2位のルノー傘下のDaciaブランドのSpring(中国湖北省にあるルノー合弁メーカー製)、5位のテスラModel 3(テスラ中国製)、そして7位のMG(中国名「名爵」、SAIC製)などが含まれている。

 中国製電気自動車は価格が安く、性能が優れているため、フランス市場で大きなシェアを占めており、その結果、今年第1四半期、フランスの電気自動車補助金のうち約40%が中国製輸入車に流れたと言われている。

 今回の新政策が中国製電気自動車の輸出に対する影響は、フランスが先に問題提起した後は、ドイツが追随するかどうかにかかっている。ドイツの自動車工業はフランスより発達しており、中国はドイツ車にとって最大の海外市場でもある。フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、ベンツは自国市場での基盤がしっかりしており、中国での新エネルギー戦略も推進しているため、ドイツの自動車メーカーの中国に対する態度は今のところフレンドリーに見えるが、今後寝返るかどうか、いつ寝返るかは誰にもわからない。

 またフランスは、欧州他国の追随を呼びかけている。マクロン氏は、「われわれは太陽光発電産業の二の舞になってはならない」と注意を促している。周知のように、過去は欧州も太陽光発電産業に力を入れていたが、その後コストや環境保護などの理由からほとんどの太陽光発電産業が中国に移転した。

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