55億元の増資、北汽新能源の延命措置になるか

 昨年年末、BAIC(北京汽車)傘下の新エネ車子会社の北汽新能源が、販売台数の急減などにより、資金繰りが厳しくなり、持株会社の北汽藍谷(Baic Bluepark)から55億元の増資で延命しているとのニュースが伝えられた。

 2009年に独立運営を開始した北汽新能源は、中国で初めて新エネ車の生産資格を取得したメーカーである。2018年、北汽新能源借が上場し、持株会社の北汽藍谷を設立した。現在はBEIJING(北京)とARCFOX(極狐)という2つのブランドを運営しているが、ハイエンドブランドのARCFOXをメインにしている。

 ARCFOXブランドは北汽新能源がピークを迎えた2016年初めに誕生し、2019年からMAGNAやファーウェイなどのサプライヤーと共同でCセグメント市場を狙い、中高級モデルとして、初のSUV「ARCFOX アルファT」と初のクーペ「ARCFOX アルファS」を投入した。

 北汽新能源の転換期は2020年に起きた。その時、新エネ車の補助金が後退し、同社の販売台数もそれに伴い激減し、通年の販売台数は前年同期比82.79%減の2.59万台にとどまった。

 これにより、親会社の北汽藍谷の業績は、2020年には黒字から赤字に転換し、同年には約65億元の純損失を計上したが、2021年も引き続き52億元の損失を計上し、2022年第1‐3四半期には21.8億元の損失を計上し、わずか2年9カ月の間に約160億元の損失を計上した。

 第3四半期の現金および現金同等物の残高は43.02億元で、第2四半期に比べて48.3%急減した。現段階では北汽新能源に55億元の増資を行い、帳簿上の資金と合わせて、今後2-3年は持つと思われるが、ただの「延命措置」であろう。

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