新しい働き方で感染症再拡大に対峙、工場閉鎖、販売停止を回避へ

 3月後半以降、自動車生産拠点が集中している長春や上海などで新型コロナ感染が再び拡大している。その影響で、自動車の1日当たり販売台数は同比で大幅に減少した。

 乗連会(全国乗用車情報連席会)によると、国内の自動車小売市場で3月第3週から異変が生じている。3月第4周(3月21-27日)の乗用車小売台数は1日平均3.9万台と前年同期比29%減少し、今年2月第4周の販売台数と比べて46%減少した。乗連会幹事長の崔東樹氏は記者に対し、「今年の新たな感染拡大は3月の販売台数に影響を及ぼした。特に一汽(本社・吉林省長春市)と上汽(本社・上海市)への影響は甚大だった」と述べた。

 具体的な影響を伝えるために、あるメディアがディーラーに状況を問合せた。複数のディーラーから「販売店の客足は急減しているため、販売方法をオフラインからオンラインにシフトしつつある」との回答を受けた。

 例えば、上海にあるファーウェイAITOの販売員は、感染拡大期間中、販売業務は中断されたわけではないと状況を紹介したうえ、仕事のウェイトをオンラインに移行して、毎日電話やWeChatなどで見込み客と連絡を取る時間を増やしており、オフラインでは、店頭販売から、ユーザー訪問・試乗などに仕事の重心を移していると語った。

 オンラインコミュニケーションの拡大、訪問・試乗の手配、オンライン注文のやり取りという「新しい働き方」により、当該従業員は隔離期間中に4台の注文を獲得し、社内の「模範事例」として表彰されたと自慢気に説明した。

 同メディアは別の複数の事例を紹介した。吉利傘下のGeometry(幾何)ブランドの上海販売員も、感染症期間中、顧客が外出に不便な場合、訪問・試乗サービスを手配することができると語った。また、一汽傘下の紅旗ブランドの長春販売担当者も、「ロックダウン期間中は店内で車を見ることはできなくても、オンラインコミュニケーションにより、注文を確保することができた」と語った。

 今回の調査から、自動車メーカーもディーラーも、2020年ごろよりも今回はコロナとうまく付き合うことができるようになっている印象を与えられた。ディーラーはタイムリーにオンライン販売に切り替えているほか、自動車メーカーも「泊りがけ勤務」(従業員が帰宅せず、工場に泊りがけで仕事を継続する)方式で工場閉鎖を回避している。上汽VW、上汽GMなどはいずれも上海工場が「泊りがけ勤務」をとっていると明らかにしたという。一汽VW側もサプライヤーと事前にコミュニケーションを取り、仕入れを前倒しに進め、従業員を工場に泊りがけで配置しているという。

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