厳しい感染対策に伴うサプライチェーンの寸断は自動車メーカーにダメージ

 ニュース配信プラットフォームの「今日頭条」(以下は「Toutiao」)は、感染拡大や厳しい感染対策により、上海や吉林省の自動車産業が大きな影響を受けていると伝えた。

 Toutiaoによると、4月5日朝、上海の自動車業界は期待されていた「閉鎖解除宣言」がなかった。

 上海市嘉定安亭にある上汽VWの第1、第2、第3工場と新エネルギー工場、テスラ上海ギガファクトリー臨港工場、浦東金橋にある上汽GMの第1、第2工場とエンジン工場は、いずれも操業停止または減産状態に陥っている。

 テスラと上汽VWはこれまでに、工場にとどまって「泊りがけ勤務」をしたいかどうか従業員に意見を求めてきた。北京冬季五輪期間中、「泊りがけ勤務」は特定のスタッフを外部から遮断する手段であり、後方支援が十分に供給されている場合、「泊りがけ勤務」管理が効果的であった。

 実は3月14日、上汽VWは安亭工場に48時間の「隔離操業」(閉鎖した状態で操業を継続すること)を求める通知を受けたが、実際には48時間にとどまらなかった。コミュニティーへの感染拡大に伴い、防疫管理・抑制措置がエスカレートし、「隔離操業」が何度も延長されている。それでも上汽VWは生産ペースを落としても、完全停止を避けたが、工場で出社を続けられる従業員は10%に過ぎないという。

 上汽GMは3月下旬にもペースを落としつつも、浦東にある複数の工場で2勤交代生産を維持していた。

 しかし、上汽VWと上汽GMはともに、重要部品の供給が滞っていることを理由に、3月31日から「一部生産」を停止し始めた。

 テスラの臨港工場は3月29日から、操業を停止している。3月16、17日にも2日間、一時的に操業を停止したことがあり、3月後半にも同工場は2週間ほどの「泊りがけ勤務」を実施した。4月3日、テスラは従業員に自宅にい続けることとコミュニティー規定に従うことを求め始めた。

 4月2日、マスク氏は、サプライチェーンの寸断と中国の感染対策により、異常に厳しい四半期になると述べた。1週間の生産停止は、電気自動車1.6万台の生産減少を意味する。現在、欧州でのテスラの受注は8カ月待つ必要があるが、中国の顧客は通常3カ月待つ必要がある。

 上海の自動車産業と似た境遇にあるのが東北(吉林省)の自動車産業である。BMW、一汽VW、一汽アウディなどの外資系のほか、一汽紅旗、一汽奔騰、一汽解放などの地場勢も厳しい感染対策の影響を受けて減産や生産停止に追われている。

 吉林省と上海では依然として感染が抑制されていない。市内の物流の承認が難しくなってきている中で、「泊りがけ勤務」はあまり意味をなさなくなってきている。地元の部品メーカーのほとんどはすでに生産を停止しているか、生産停止の瀬戸際に近づいているため、他地域の原材料を継続して送り込むことは難しく、完成車工場は「ない袖は振れない」状態になりつつある。

 Toutiaoは、感染が緩和されず、コミュニティーの閉鎖が解除されず、市内外の交通が再開されなければ、全面的な操業停止に入ることが時間の問題であると指摘している。

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