バッテリーメーカーの一人勝ち、OEM全員敗者の懸念

 経済誌の「第一財経」は、新エネ車産業の利益は動力電池やチップなどの部品メーカーに奪われていると指摘している。儲かる新エネ車メーカーはわずかで、一部のOEMは大赤字に転落することもある。自動車産業の電動化、スマート化、ネットワーク化のペースが加速するのに伴い、完成車メーカーと部品メーカーは新たな駆け引きを始めている。

 2022年2月1日からBYD傘下の多くの新エネ車モデルの値上げが相次いでいる。原材料価格の高騰や新エネ車補助金の後退などの影響を受け、BYDは今回、一部の新エネ車モデルの価格を1000~7000元値上げした。

 バッテリーと車を同時に生産しているBYDは、多くの新エネ車メーカーよりも圧倒的に利益で潤っている。同社2021年の販売台数が前年比231.6%増の59.37万台となり、テスラを破って2021国内新エネ車の販売台数トップの座を獲得した。さらに、BYDの今年1月の新エネ車販売は前年同期比367.6%増の9.29万台に達した。

 しかし、これほど好調だったBYDでも、今のところ稼ぐ力はバッテリーだけを売っているCATL(寧徳時代)には及ばない。BYDの2021年1~3四半期の売上高は約4割増加したにもかかわらず、純利益は28.43%減の24.43億元であった。

 「バッテリー王」と呼ばれるCATLは「満腹の一年」を過ごした。CATLはこのほど発表した報告によると、2021年の業績は純利益が140億元から165億元に上がり、純利益は150.8%増から195.5%増になる見込みである。このうち、第4四半期の純利益は62.5-87.5億元に達する見通しで、1-3月期の純利益は60億元を超え、強力な収益力を示した。

 一方、CATLと長年提携してきたBAIC(北汽集団)傘下の新エネ車メーカー「北汽新能源」は、ここ数年間業績が振るわない。北汽新能源傘下のハイエンドブランド北汽藍谷はこのほど、2021年度に48-53億元の赤字を計上し、非常時損益を差し引くと50-55億元の赤字となり、2年連続で深刻な赤字に陥っているとの見通しを発表した。

 2021年、BAICの新エネ車販売台数は2.61万台で、そのうち北汽藍谷のARCFOXブランドの年間販売量は4993台にとどまっている。北汽新能源はCATLの最初の顧客の一つで、9年前、北汽新能源の最初の400台のE150EVに搭載されたのはすべてCATLのバッテリーであった。北汽新能源の第1陣となるEV E150EV試作車の共同開発からEU260製品の発表など、随所にCATLの姿がある。

 注目すべきは、CATLのバッテリーを調達する多くのOEMの中で業績が振るわないのは、北汽新能源だけでない。2021年に販売台数が倍増して10万台に迫っているベンチャー系新興メーカーのNIO(蔚来)やXpeng(小鵬汽車)ですら、2021年も赤字を脱していないと予想されていることである。研究開発費のほか、車載チップ、バッテリーなど調達コストが上がったため、NIOやXpengなどの新エネ車メーカーは増収減益のジレンマに陥ったままである。

 近年の新エネ車ブームで最も特をしているのは、CATLをはじめとするサプライチェーンの川上に位置するバッテリーやコア電子部品、および原材料、設備などのサプライヤーである。

 テスラはCATLのバッテリーを調達して利益を上げているごく一部の新エネ車OEMの1つである。しかし、2003年に設立されたテスラの黒字化への道は順調ではなく、利益の伸びもCATLに及ばず、2020年に初めて年間黒字を達成したばかりで、純利益は7.21億ドルに過ぎなかった。しかも、この黒字転換の成績表の背景にある最大の貢献者はカーボンクレジットで、テスラは2020年にカーボンクレジッドを売るだけで15.8億ドルを稼いだ。

 対して、2011年に設立されたCATLは、業績を対外的に発表して以来、稼ぎ続けており、昨年はリチウム電池の一部原材料価格が200%以上上昇したにもかかわらず、純利益が過去最高を更新した。


参考記事:https://www.yicai.com/news/101309383.html

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