過去3-4年の間に、自動車スタートアップ企業は100社強から40社前後に激減

2020年のコロナ禍は、新エネルギー自動車スタートアップ企業を押しつぶす最後の藁となった。 操業停止、倒産のニュースが相次いでいる。CADA(中国汽車流通協会)のデータによると、2020年に国内で自動車スタートアップ企業は約40社にとどまり、すでに倒産した企業は6割を超えている。40社のうち、実際に量産をしている企業は9社のみだ。なぜそうなったのだろうか。

資金面では、自動車をつくるには巨額の投資が必要だが、それを賄うことができなくなった。自動車をつくるのにいったいいくらの資金が必要なのか。「100億元」という参考値を出した人がいるが、実際には100億元は十分ではない。小鵬汽車会長の何小鵬氏は、「自分が自動車業界に飛び込でから200億元も足りないことを知った」と述べた。

自動車を売るまで融資だけで生きていくには、融資を続けなければならない。一方、資本はスタートアップ企業の成長に十分な忍耐力を持っているだろうか。資本市場のロジックからすると限界がある。

業務面では、自動車生産工場の建設は膨大な資金がかかるだけではなく、非常に複雑な仕事だ。自動車産業チェーンは長く、コストも高い。設計図から部品(万個単位の独立部品)まで、一個一個サプライチェーンに組み込むことが容易ではない。これに新エネルギー自動車の電動化設計や充電システムの整備、自動運転支援技術の搭載(L1~L5)などが加わり、どれをとっても世界的な難題とも言える。

同時に、自社工場を建てるという関門を越えたとしても、車を生産した後、販売チャンネルの整備やショールームの建設、マーケティング対応などの問題に直面しなければならない。

人材管理の面では、「500強」の有名企業から人材を採用することは思わぬ落とし穴が待っている。大企業出身の人材は、聞いていて確かに頼りになり、業界の人脈、リソース、見識は簡単に得ることができそうで、メリットは明らかだ。しかし、このような大企業からの人材に起用することで、スタートアップ企業は最初から「大企業病」にかかってしまう可能性がある。

報道によると、Bytonがドイツから輸入されたエコ素材の名刺は1箱で1000元以上に達する。NIO社員の国内大都市出張の宿泊基準は900元で、グローバル500強に匹敵する水準だ。また、2017年にNIOは、初モデルのES8の発表会で、8000万元をかけて、8機の飛行機、60両の高速鉄道車両、160台のバスを動員し、5つ星ホテルを19個所貸し切ったことで、世界を驚かせた。

肝心な研究開発におカネが一番必要な時に、ブランドPRやイメージ作りに巨額の資金を投じた自動車スタートアップ企業のやり方は、コスト削減に全力を尽くしている自動車業界以外のベンチャー企業と比べていかにも派手で、常識外れだ。

高給でスカウトされた役員は企業家精神と忠誠心を持たない。

報道によると、2015年に上海汽車集団副総裁の丁磊氏が、(すでに倒産した)スタートアップ企業の楽視汽車に引き抜かれ、年収は60万元前後から460万元に跳ね上がった。また、スタートアップ企業に加盟した後、年収が1000万元に達した自動車メーカーの幹部もいるという。

スカウトされた元メーカーの役員たちは、もともと一糸乱れぬ暮らしをしていて、ハングリー精神や企業家精神に欠けていると同時に、仕事のスタイルは過去の仕事に慣れており、自動車をゼロから造るスタートアップ企業のスピード感とリズムに合わない。スタートアップ企業が苦境に立たされると、彼らはタイミングよく「抜け出し」、次々と別の自動車メーカーに行ってしまう。

結局、スタートアップ企業に必要なのはパートナーであって、職業マネージャーではない。パートナーは、大局観を持って、個人の価値の実現を企業の成長と高度に結びつけて、個人の利益と生活よりも、企業の存亡を優先的に考える人でなければならない。甚だしきに至っては給料を受けていないパートナーもいる。

現在、資金調達上位15社の新エネルギー自動車スタートアップ企業のうち、量産販売を実現したのは9社だけで、他の6社は車さえ製造していない。とくには派手なスタートで、一時評価額はTop5入りのBytonは、戦績がゼロだった。Byton初のSUVは今年6月に量産される予定だったが、操業停止を発表して、業界を震撼させた。

いま生き残っている新エネルギー自動車スタートアップ企業も今後どこまで成長していけるかはまだ不透明だ。いずれにせよ他社の失敗例を教訓にして、健全な成長軌道に戻る必要がある。


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